シロチドリ(英語表記)Charadrius alexandrinus; Kentish plover

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シロチドリ」の意味・わかりやすい解説

シロチドリ
Charadrius alexandrinus; Kentish plover

チドリ目チドリ科全長 15~17cm。雌雄異色。雄の夏羽(→羽衣)では白い額と赤褐色の後頭の間に黒い帯がある。過眼線は黒く,眉斑は白い。背以下の背面は灰褐色で,喉,頸,腹面は白いが,頸に前側で切れている黒い輪がある。雌は雄に似るが,前頭と後頭,過眼線,頸の輪とも背と同じ灰褐色。冬羽は雌雄とも雌の夏羽に似ている。ヨーロッパ南部,アフリカ北部,ユーラシア大陸の中緯度地方以南で繁殖する。繁殖地の南部では周年生息する留鳥だが,北部では夏鳥(→渡り鳥)で,繁殖後に南部の繁殖地やアフリカ中部,東南アジアなどに渡る。海岸河口砂浜,砂利浜,泥浜,塩湖の沿岸などにくぼみをつくって営巣する。食べ物は昆虫やカニ,エビ,貝,ゴカイといった無脊椎動物のほか海藻も少量含む。日本でも全国の海岸や河口の砂州などで繁殖し,本州以南では越冬している。「ぴゅる,ぴゅる」と澄んだ声で鳴く。(→渉禽類

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改訂新版 世界大百科事典 「シロチドリ」の意味・わかりやすい解説

シロチドリ (白千鳥)
Kentish plover
Charadrius alexandrinus

チドリ目チドリ科の鳥。日本の海岸でごくふつうに見られるチドリ類の一つ。全長約17cm。ユーラシア大陸の亜寒帯以南,アフリカ,オーストラリア,南北アメリカなどに分布する。日本では九州以北で繁殖し,多くは留鳥である。体の上面は灰褐色で,下面は白い。雄は過眼線と胸側の斑が黒く,雌は褐色,翼には白帯があり,飛ぶとき目だつ。くちばしと脚は黒い。海岸や干拓地の砂地,大きな川の中流以下の岸や中州砂原などにすむ。地面に浅いくぼみをつくり,貝殻や植物の切片を敷いて巣とし,1腹ふつう3個の淡緑褐色の地に黒褐色の斑紋斑点のあるヨウナシ型の卵を産む。雌雄交替で約25日抱卵する。かえった雛は綿羽に包まれていて,かえって数時間後には親鳥に導かれて巣を離れる。秋冬には海岸や河口の干潟に群れで生活し,地上をすばやく歩いては立ち止まり,餌をついばみ,また歩くという動作を繰り返す。飛びながらピュルピュルと鳴き,繁殖期にはポイッという声も出す。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロチドリ」の意味・わかりやすい解説

シロチドリ
しろちどり / 白千鳥
Kentish plover
[学] Charadrius alexandrinus

鳥綱チドリ目チドリ科の鳥。北半球の温帯地域から南半球にまで分布し、おもに海岸にすむ。日本では全国から記録があり、九州以北で繁殖している。海岸や河口近くの砂地や砂礫(されき)地のくぼみに小石、貝片、木片などを敷き、3卵を産む。全長17.5センチメートル。上面は褐色で、下面は白色。胸の両側に黒斑(こくはん)があり、胸帯にはなっていない。飛ぶと翼には白帯が出る。嘴(くちばし)は黒色で、足も黒っぽい。冬季には群れをつくり、数百羽以上になることも多く、ハマシギとの混群もよくつくる。甲殻類、軟体動物などが主食である。

[柳澤紀夫]


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百科事典マイペディア 「シロチドリ」の意味・わかりやすい解説

シロチドリ

チドリ科の鳥。翼長11cm。ユーラシアに広く分布。日本では全国で繁殖し,北日本では繁殖後,暖地へ移動する。河川敷,砂浜海岸などに営巣し,埋立地などでは集団営巣することがある。干潟,海岸,水田,川辺などで採食し,水生昆虫,ミミズなどを食べる。日本で繁殖する他のチドリ類同様,繁殖地の減少や人による乱獲で,近年数を減らしている。絶滅危惧II類(環境省第4次レッドリスト)。
→関連項目チドリ(千鳥)

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