シュー(英語表記)Eugène Sue

精選版 日本国語大辞典 「シュー」の意味・読み・例文・類語

シュー

(Eugène Sue ウージェーヌ━) フランス小説家。下層民の生活悲惨を描き、新聞小説家として大衆人気を得た。代表作さまよえるユダヤ人」「パリの秘密」。(一八〇四‐五七

シュー

(Shu) エジプト神話に出てくる太陽の光と大気の神。三柱神の一つ。頭に羽根飾りを付けた姿で表わされる。

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デジタル大辞泉 「シュー」の意味・読み・例文・類語

シュー(Eugène Sue)

[1804~1857]フランスの小説家。本名、マリ=ジョゼフ=シュー(Marie-Joseph Sue)。新聞小説「パリの秘密」で名声を得た。ほかに「さまよえるユダヤ人」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「シュー」の意味・わかりやすい解説

シュー
Eugène Sue
生没年:1804-57

フランスの小説家。本名はMarie-Joseph Sue。はじめ軍医であったが,《海賊ケルノック》(1831)等の海洋小説によって文壇に登場。次いで《アルチュール》(1838)など,風俗小説も書いた。代表作は《パリの秘密》(1842-43年《デバ》紙に連載)で,パリの下層社会を描き,民衆の悲惨な生活への共感を表したものである。次いで発表された《さまよえるユダヤ人》(1844-45年《コンスティテュシヨネル》紙に連載)では,すでに《パリの秘密》において表明された社会主義的な傾向がいっそう強められた。1850年,立法議会議員に選出されたが,翌51年,ルイ・ナポレオンのクーデタに抵抗して逮捕され,アヌシー亡命,同地で世を去った。彼の小説では,人物が善玉悪玉とに截然と分けられ,かなり単純な正義感が基調となっている。サスペンス的な手法とあいまって,それが当時の大衆から圧倒的人気を得たゆえんであろうが,今日,文学的には必ずしも高い評価を与えられていない。しかし,デュマ(父)とともに新聞小説開祖として大衆文学の誕生をもたらしたといえる。
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シュー
Shu

古代エジプトの神。ヘリオポリス神学によれば,アトゥムの天地創造説話にあって,最初に生まれた神の一人で,アトゥム,テフヌートTefnutとともにヘリオポリスの三柱神となった。太陽の光と大気の化身で,水と湿気の化身たるテフヌートの夫,また大地の神ゲブと天空の女神ヌートの父。頭に彼の名前の由来たる空間,空虚を意味する羽根飾を付けた姿で表される。シューによってゲブとヌートは引き離され,天と地が生じたとされる。シューは他の神々のように信仰の特定拠点は持たないが,デンデラは〈シューの家〉,アポリノポリス・マグナは〈シューの廟〉,エドフは〈シューの所在地〉,メンフィスは〈シューの住居〉と称された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュー」の意味・わかりやすい解説

シュー
Sue, Eugène

[生]1804.1.26. パリ
[没]1857.8.3. オートサボア,アヌシー
フランスの小説家。本名 Marie-Joseph Sue。海軍軍医になったが 1829年除隊後,海洋冒険小説によって文筆生活に入った。プルードンの影響を受けた社会主義者で,巧みな筋運びと精彩ある人物・情景描写とにより,貧しい人々の生活をあたたかい同情の目をもって描き,同時代作家のなかで最も広く読まれた。パリの貧民街を描いた代表作『パリの秘密』 Les mystères de Paris (1842~43) は,新聞連載小説 roman-feuilletonとして大成功を収め,ユゴーの『レ・ミゼラブル』にも影響を与えた。ほかに『さまよえるユダヤ人』 Le Juif errant (1944~45) ,『七つの大罪』 Les Sept Péchés capitaux (1947~49) など。

シュー
Shu

古代エジプトの大気,天空,風の神。双生児の妹テフヌトとともに,ヘリオポリスの創世神話に最初の夫婦として登場する。「持上げる者」を意味する名で,ゲブヌトが抱合っていたのをシューが天を持上げて彼らを引離したため,それ以後シューが支えたヌトの腹が天となってそこには星が輝き,地には草木が生えるようになった。もともとはデルタ地方で信仰されたライオン神で砂漠の熱風の象徴。レーの後継者として権力をふるったが,病気になって信者からも反逆され,ついに息子ゲブに権力を譲り,9日間の嵐ののち空に隠遁した。

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百科事典マイペディア 「シュー」の意味・わかりやすい解説

シュー

古代エジプトの大気の神。水の女神テフヌートTefnutの夫。大地の神ゲブと天空神ヌートの間に立ってヌートを押し上げている。

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