シューマッハー(Emil Schumacher)(読み)しゅーまっはー(英語表記)Emil Schumacher

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

シューマッハー(Emil Schumacher)
しゅーまっはー
Emil Schumacher
(1912―1999)

ドイツの画家。1950年代のドイツの抽象表現主義絵画を代表する。ハーゲンに生まれ、1932~35年ドルトムントの工芸学校に学んだ。50年以降、ボルスの影響の下にレリーフ状の効果をもつ暗く物質的な絵肌を発展させた。その絵肌を彼はしばしば厚紙、布、しわくちゃにした紙などで補強し、そこに裂け目を思わせる条痕(じょうこん)をつくった。彼は「僕は壁と闘うように絵画に立ち向かう。脱出する割れ目をみつけるために」といっている。52年ドイツの抽象画家たちがミュンヘンで結成したグループ「Zen(禅)49」に加わる。これは東洋および日本の線の表現やマーク・トビーのホワイト・ペインティングに影響されたグループである。58~77年ハンブルクおよびカールスルーエの美術学校で教鞭(きょうべん)をとる。日本では1959年(昭和34)日本国際美術展で文部大臣賞、66年東京国際版画ビエンナーレ展で都知事賞を受けた。97年パリのジュ・ド・ポーム国立ギャラリーで回顧展が催され、同年ハンブルク美術館に巡回した。

[野村太郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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