シューブ(英語表記)Schub[ドイツ]

デジタル大辞泉 「シューブ」の意味・読み・例文・類語

シューブ(〈ドイツ〉Schub)

《シュープとも》病状が急速に悪化・拡大をみせること。肺結核で多くみられる。急性増悪。

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精選版 日本国語大辞典 「シューブ」の意味・読み・例文・類語

シューブ

〘名〙 (Schub) 一時回復した肺結核が、突然再発すること。急性増悪。精神病の飛躍的悪化にもいう。
※いやな感じ(1960‐63)〈高見順〉三「ふたたびシューブがはじまった。鳴りをひそめていた結核菌がまたもや活躍し出したのである」

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改訂新版 世界大百科事典 「シューブ」の意味・わかりやすい解説

シューブ
Schub[ドイツ]

結核の進展様式に用いられる言葉で,〈階段状に〉という意味のドイツ語schubweiseを簡略化した慣用語である。結核の進展の様式にはリンパ行性転移,血行性転移,管内性転移の三つの様式があるが,肺結核においては,管内性転移の一つである気管支性転移により進展する場合が多い。すなわち,結核性空洞から散布された結核菌は気管支を経て,一般に肺の上から下へ,後方から前方へと進展し,ときには対側肺にも新しい病巣を形成する。その進み方は連続的ではなく,一定期間の停止状態と,それに次ぐ階段状の悪化を繰り返すことが多い。このような階段状の気管支性転移をシューブと呼ぶ。このとき,患者は激しい咳,痰,発熱を伴うことが多い。なお,広義には気管支性転移以外の様式による,階段状の病巣の広がり,悪化にも用いられる。
結核
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シューブ」の意味・わかりやすい解説

シューブ
しゅーぶ

語源はドイツ語のSchubであるが、医学および医療社会では、むしろ日本語化して用いられているもので、肺結核症の経過中に、自覚症状および他覚症状が急激に悪化することをいう。毒力の強い結核菌が、過労などの個体抵抗力の低下を誘因として、新たに広がり、病変を拡大するときにおこるとされている。

[渡辺 裕]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シューブ」の意味・わかりやすい解説

シューブ
exacerbation; Schub

急性増悪のこと。結核の慢性経過中,病状が急速に悪化することをいう。毒力の強い結核菌が,一時的に安定していた病巣から一時に多量放出され,健康な肺葉をおかし進展する。

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