シュロ(棕櫚)(読み)シュロ

百科事典マイペディア 「シュロ(棕櫚)」の意味・わかりやすい解説

シュロ(棕櫚)【シュロ】

中国原産で,各地で広く栽培されるヤシ科の常緑高木。耐寒性が強く,東北地方まで屋外で栽培でき,暖地では野生化もしている。幹は円柱形で直立し,暗褐色の繊維でおおわれ,頂に葉をつける。葉は四方に広がって出,柄は太くて長く,古い葉はたれ下がる。葉身は扇形に深裂し,裂片の先は折れる。雌雄異株。5〜6月,葉間から大きな肉穂花序を出し,淡黄色花を密に開く。果実はゆがんだ球形で,青黒色に熟す。幹の繊維は耐水性があり,シュロ縄や箒(ほうき),敷物などに,樹は庭木とされる。近縁トウジュロも中国原産で,シュロより葉が堅く短い。また先が折れないのでシュロより観賞価値が高い。
→関連項目ビロウヤシ(椰子)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュロ(棕櫚)」の意味・わかりやすい解説

シュロ(棕櫚)
シュロ
Trachycarpus excelsus; hemp palm

ヤシ科の常緑高木。ワジュロ (和棕櫚) ともいう。九州南部原産。現在野生のものはなく,暖地に広く栽植されている。ヤシ科のなかでは最も耐寒性が強いので東北地方まで栽培可能である。枝はなく幹の先端に多数の大型の葉を出す。雌雄異株で初夏に穂状花序をなして黄白色の花をつける。若い葉をさらして帽子や敷物などをつくり,幹の鞘部に残る強靭な繊維 (いわゆるシュロ皮) を縄や刷毛 (はけ) などの材料に用いる。本種によく似ていてしばしば栽培されるものにトウジュロ (唐棕櫚) T. wagnerianusがある。中国大陸南部の原産で,全体にワジュロより小型,葉の裏に主脈の一部が葉面から離れて突き出しているので区別できる。

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