百科事典マイペディア の解説
シュトゥルム・ウント・ドラング
→関連項目群盗|ゴットシェート|人文主義|ドン・カルロス|レンツ
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「疾風怒濤(しっぷうどとう)」と訳される、18世紀60年代のなかばから80年代の終わりころまでのドイツの文芸運動。名称はクリンガーの同名の戯曲に由来する。一般に啓蒙(けいもう)主義とドイツ古典主義の中間に位置づけられ、前者の合理主義に対して感情中心の非合理主義を標榜(ひょうぼう)し、その革命的個人主義は後者の高貴な人間性の理想によって克服されたと考えられている。しかし疾風怒濤が反対したのは硬直化した啓蒙主義の悟性(ごせい)偏重や皮相的人間像にすぎない。またドイツ古典主義を完成したゲーテとシラーは、この新しい文芸運動によって初めて規則ではなく根源的な自然に根ざす文学の創作に目覚まされた。
シュトゥルム・ウント・ドラングの思想的淵源(えんげん)は、ルソーの文明批判、ヤングの天才観、敬虔(けいけん)主義の伝統、啓蒙主義の社会解放運動、ハーマンの神秘思想などであり、これらすべてに基づき強力な理論的指導者となったのはヘルダーである。とくに彼の編集発行した小冊子『ドイツの様式と芸術について』(1773)は疾風怒濤のマニフェスト(宣言)とみなされている。当時活躍した詩人ないし作家は、若いゲーテとシラーのほか、レンツ、クリンガー、H・L・ワーグナー、ユング・シュティリング、ビュルガー、シューバルト、ハインゼなど。
[木村直司]
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