日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シュタイン(Peter Stein)
しゅたいん
Peter Stein
(1937― )
ドイツの演出家。ベルリンに生まれる。1960年なかばにミュンヘンで演出助手として演劇活動を開始し、60年代末に演劇の「民主的実践」を唱導した。劇団構成員全員の協力によって劇場と上演を運営する集団指導を劇づくりの基礎に置き、70年以後ベルリンの「シャウビューネ」を本拠地とした演出活動で注目を浴びた。72年のクライスト作『ホンブルク公子』をはじめ、その演出はつねに大きな反響をよんだ。映画やテレビでも活躍が目覚ましく、ボート・シュトラウスの『大と小』(1980)の演出で高い評価を受けた。1980年代に入って社会改革を主張するメッセージ性の鋭さを失ったかにみえるが、その反面、映画とテレビドラマにも活動の場を広げ、ヒューマニズムを基調とする円熟の境地に達した。1990年代にはザルツブルク祝祭劇(ザルツブルク演劇祭)の演劇部門の総監督としてラインハルトを彷彿(ほうふつ)させる演出によって評判になった。
[宮下啓三]
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