シャンタン(英語表記)shantung

デジタル大辞泉 「シャンタン」の意味・読み・例文・類語

シャンタン(shantung)

縦糸生糸横糸玉糸紬紡糸ちゅうぼうしを用いた、つむぎ風の平織り絹地。綿・化繊でも作られ、張りと光沢があり、ドレス夏服などに用いられる。元来は中国山東シャントン柞蚕さくさん糸を用いて織られた織物山東絹。

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精選版 日本国語大辞典 「シャンタン」の意味・読み・例文・類語

シャンタン

〘名〙 (Shantung 「山東」の英語読み) 絹織物一種。山東絹。中国の山東省で産出する柞蚕(さくさん)糸を経(たていと)、緯(よこいと)に用いて織ったもの。表面効果が紬(つむぎ)風になっている点が特徴。最近は経に生糸、緯に玉糸を用いて節糸(ふしいと)の感じを出し、布面に不規則な節を出したものが多い。婦人服ブラウス・シャツ地用。なお、絹のほかに化学繊維木綿、毛のものなどもある。

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改訂新版 世界大百科事典 「シャンタン」の意味・わかりやすい解説

シャンタン
shantung

絹織物の一種で,本来柞蚕(さくさん)の主産地,中国,山東省の柞蚕糸を使った平織物をいう。緯糸に節(ふし)(野蚕(やさん)のズル節や玉糸)のある糸を織り込んで,布面に不規則な節を出す。経糸に生糸を使い緯糸に節柞蚕を織ったものをもいい,後練(あとねり)織物である。現在では柞蚕と同じような緯節の織物を呼び,玉糸,絓糸(しけいと)などを使った絹織物や化合繊のものも指す。無地,プリントがあり,婦人服地,ブラウスや室内装飾地に使われる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャンタン」の意味・わかりやすい解説

シャンタン
しゃんたん
shun tung

経糸(たていと)に柞蚕糸(さくさんし)、緯糸(よこいと)に節のある柞蚕糸を用い、織面に不規則な節を出した織物。シャンタンとは中国語の山東からきたもので、中国の山東省は柞蚕糸の産地であり、日本へ多量に輸入され、福井・岐阜地方で織物に生産されてきた。しかし現在では、柞蚕糸のかわりに、経糸に生糸、緯糸に玉糸を使ったものができ、さらに綿・化合繊のものも現れるに至った。一般に無地染め、捺染(なっせん)などの加工が施され、野趣のある風合いに仕上げられる。婦人服、ブラウス、シャツ地などに使用される。

[角山幸洋]

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百科事典マイペディア 「シャンタン」の意味・わかりやすい解説

シャンタン

絹織物の一種。中国の山東省で創製されたのでこの名があり,山東絹ともいう。本来は柞蚕(さくさん)糸を用いたが,普通は緯(よこ)糸に玉糸を用いて平織にし不規則な節を織り出す。近年は毛,化学繊維でも作られる。軽く張りがあり(つむぎ)の趣がある。ドレス,マフラーをはじめ背広地にもする。

シャンタン

湘潭

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャンタン」の意味・わかりやすい解説

シャンタン
shuntung

中国の山東省で創製された絹織物の一種。本来は柞蚕糸 (さくさんし) を使った平織物であるが,これになぞらえて普通は経糸に生糸を,緯糸に玉糸か紬糸を使った織物をいう。節のあるのが特色で,光沢のあるものとないもの,薄手,厚手などさまざまある。室内装飾用にも用いられる。最近はレーヨン織物で類似品がつくられている。

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世界大百科事典(旧版)内のシャンタンの言及

【玉繭】より

…したがって,玉糸を用いた織物には多様な形状のふしが浮き出た独特の外観を呈する。玉糸は和装用織物では裏絹,銘仙,洋装用織物ではシャンタン,リンシャンと呼ばれる野趣のある絹織物の素材として用いられるほか,上質な真綿の原料として使われ,それは高級な紬織物の素材として珍重されている。【小河原 貞二】。…

※「シャンタン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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