シャルリー・エブド(読み)シャルリーエブド

百科事典マイペディア 「シャルリー・エブド」の意味・わかりやすい解説

シャルリー・エブド

フランスの週刊新聞。風刺画イラストを多用することで知られる。1981年に廃刊となった前身の”Hara-Kiri”を受けて,1992年に週刊紙シャルリー・エブドとして再開された。イスラムの予言者ムハンマド風刺画をたびたび掲載。日本の福島第一原発事故も風刺の対象に取り上げられた。2015年1月7日,パリ11区の事務所に自動小銃を持った男らが乱入,銃を乱射して,編集会議中の同紙編集長と編集関係者,風刺画家,かけつけた警官2人の計12人が死亡し約20人が負傷した。死者のなかに,2020年の夏季オリンピックの東京開催が決まった際に,奇形の力士がオリンピックに出場するという風刺画を風刺新聞〈カナール・アンシェネ〉に発表した漫画家カビュも含まれていた。事件は連続して起こったモンルージュ警官襲撃事件,ユダヤ食品スーパー襲撃事件とともに,同時多発的なテロ事件として,フランス社会を震撼させた。特殊部隊により計3名の犯人が射殺された。犯人はアルジェリア系フランス人で,このうちの1人は2005年にイラクにジハード主義者を送り込んだ事件に関係して逮捕されており,執行猶予の付いた有罪判決を言い渡されていた。事件後,イエメンを拠点とする〈アラビア半島のアル・カーイダ(AQAP)〉が関与を認める声明を発表。1月11日,〈私はシャルリー〉を標語として,フランス各地で犠牲者の追悼と〈言論表現の自由〉を擁護するための大行進が行われ370万以上の人々が参加したと推計されている(フランス内務省発表)。このうちパリの行進に加わったのは160万人超とされ,イギリスのキャメロン首相やドイツのメルケル首相らEU諸国を中心に,トルコのダウトオール首相,イスラエルのネタニヤフ首相,パレスティナのアッバス大統領,ロシアのラブロフ外相など40人超の各国首脳も参加した。しかし,テロリズムに反対し,言論表現の自由を擁護する人々の間にも,シャルリー・エブドの風刺の姿勢に対して,客観的な事実の無視,公平性の欠如,批評性の無さを批判する意見が多く存在している。
→関連項目オランドザワヒリホームグロウンテロ

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デジタル大辞泉プラス 「シャルリー・エブド」の解説

シャルリー・エブド

《Charlie Hebdo》フランスの週刊新聞。1992年創刊。時代を鋭く風刺したイラストを多用することで知られる。2015年1月、前年に掲載した風刺イラストがきっかけとみられるイスラム過激派武装集団による編集部襲撃事件が発生編集者など12名が殺害された。

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