シャモア(英語表記)chamois
Rupicapra rupicapra

デジタル大辞泉 「シャモア」の意味・読み・例文・類語

シャモア(〈フランス〉chamois)

ウシ科の哺乳類ニホンカモシカ近縁で、体形ヤギに似る。夏毛黄褐色冬毛黒褐色。ヨーロッパ中南部から小アジアにかけての山岳地帯の岩場生活

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改訂新版 世界大百科事典 「シャモア」の意味・わかりやすい解説

シャモア
chamois
Rupicapra rupicapra

ヤギに似た高山生動物で,偶蹄目ウシ科に属する。ヨーロッパ中・南部,小アジア,カフカスの山岳地帯に分布体長90~130cm,尾長3~4cm,体高76~81cm,体重24~50kg。角は雌雄にあり,先端は鋭く,後方に曲がる。眼下腺はないが,角の後ろに独特の腺がある。夏毛は短く橙褐色,冬毛は長く黒褐色で,顔の両側と背の正中線に黒色の縞がある。ひづめは硬く岩登りに適し,四肢の下部も強靱なばねをもち,岩地での跳躍を可能にしている。春から夏にかけては,雌と子は15~30頭の小群で,雄は単独で,高山の岩場で生活する。10~12月の交尾期には,低山帯に移動しつつ雌雄は合流する。雄どうしは激しく戦い,勝った雄は他の雄を群れから追い出す。負けた雄の中には角で腹を突かれ死ぬものも出る。妊娠期間は153~210日で,草やコケの上でふつう1腹1子を生む。子は数日で岩の上で跳びはねることができる。寿命は22年の記録がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャモア」の意味・わかりやすい解説

シャモア
しゃもあ
chamois
[学] Rupicapra rupicapra

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の動物。ヨーロッパのピレネーアルプス、アペニンの各山脈およびトルコ、カフカスの山地に分布する。日本のカモシカやヒマラヤのシーローに近縁である。体形はヤギに似て体長90~130センチメートル、肩高70~85センチメートル、角(つの)は雌雄ともにあり15~20センチメートルほど、黒色で鉤(かぎ)状に後方へ曲がる。スイスでは登山用ステッキの握りにこの角を用いる。眼下腺(せん)はないが、角の後方に分泌腺があり繁殖期に膨れる。被毛は夏季に長さ4センチメートル、冬季には10~20センチメートルになり気候に順応する。体色も夏は黄褐色、冬は保護色の黒褐色となる。山岳地帯の岩場の生活に適応し、動作はすばやい。15~30頭ぐらいの集団で生活する。冬は餌(えさ)を求めて森林地帯にすむが、夏は4000メートル以上の高所に登る。食物は草、樹葉、若枝などである。交尾期は秋で、翌年の5~6月ごろ1産1~2子を産む。妊娠期間約6か月。別名をスイスレイヨウ、スイスカモシカ、アルプスカモシカなどという。

[北原正宣]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャモア」の意味・わかりやすい解説

シャモア
Rupicapra rupicapra; chamois

偶蹄目ウシ科。アルプスカモシカともいう。体長 1m内外,体高 80cmほど。頭の後方に鉤状に曲った 20cmぐらいの角を雌雄ともにもつ。岩登りやジャンプが巧みで,夏季には標高 4000m近くの高山にまで行動圏を広げる。皮はなめしてレンズふきなどに用いられる。ピレネー,アルプス,アペニン各山脈の森林地帯に分布し,20頭ぐらいの小集団で生活している。

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