シャステル(読み)しゃすてる(英語表記)André Chastel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャステル」の意味・わかりやすい解説

シャステル
しゃすてる
André Chastel
(1912―1990)

フランスの美術史学者。フォシヨン門下。エコール・ノルマル・シュペリュールで学ぶ。パリ大学、ついでコレージュ・ド・フランスの教授を務める。アカデミー・フランセーズ会員。イタリア・ルネサンス美術を中心に、中世から現代に至る幅広い領域で研究を進めると同時に、新聞『ル・モンド』の記者として批評活動も行い、深い学識と広い視野に裏づけられた現代美術に対する論評で注目される。主著に『イタリア美術』(1956)、『ロレンツォ豪華王の時代のフィレンツェの芸術とユマニスム』(1959)などがある。

鹿島 享]

『高階秀爾訳『イタリア・ルネッサンス 1460―1500』(1968・新潮社)』『辻茂訳『イタリア・ルネッサンスの大工房 1460―1500』(1969・新潮社)』『アンドレ・シャステル解説、高階秀爾訳『ミケランジェロ・ヴァティカン壁画』1~2、『ミケランジェロ・ヴァチカン壁画 解説』(1980・講談社)』『アンドレ・シャステル他著、Takahashi Kenji他訳『甦るミケランジェロ システィーナ礼拝堂』(1987・日本テレビ放送網)』『桂芳樹訳『ルネサンス精神の深層――フィチーノと芸術』(1989・平凡社)』『永沢峻訳『グロテスクの系譜――装飾空間論』(1990・文彩社)』『高階秀爾訳「断片・怪奇・未完成」(J・A・シュモル編『芸術における未完成』所収・1991・岩崎美術社)』『小島久和訳『ルネサンスの危機 1520―1600年』(1999・平凡社)』『阿部成樹訳『ルネサンスの神話 1420―1520年』(2000・平凡社)』

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百科事典マイペディア 「シャステル」の意味・わかりやすい解説

シャステル

フランスの美術史・文化史家。エコール・ノルマル卒。パリ大学,コレージュ・ド・フランスなどの教授を歴任した。フランス学士院会員。ルネサンス美術史の第一人者で,ワールブルク学派イコノロジーや新しい思想史研究をも摂取したスケールの大きな学風で知られる。主著《マルシリオ・フィチーノと芸術》(1954年),《ロレンツォ・イル・マニフィコ時代のフィレンツェの芸術と人文主義》(1959年),《ルネサンスの神話》(1969年),《ローマ劫掠》(1984年)ほか。

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