シメ(英語表記)Coccothraustes coccothraustes; hawfinch

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シメ」の意味・わかりやすい解説

シメ
Coccothraustes coccothraustes; hawfinch

スズメアトリ科全長 16~18cm。暗灰色円錐形で太い。頭部は大きくずんぐりとし,目先と喉が黒く,ほかは赤褐色。頸の脇から後ろが灰色,肩や背は黒褐色で,腰は淡褐色は基部に目立つ白帯があり,その下側が青く,風切羽は黒い。胸以下の腹面は桃色を帯びた淡褐色。尾羽は黒く先端が白い。繁殖地はヨーロッパから東アジアカムチャツカ半島に及ぶ。ヨーロッパや中央アジアアムール川流域周辺では留鳥だが,ほかの繁殖地では夏鳥(→渡り鳥)で,越冬には地中海地方や東アジア中部,南部へ渡る。繁殖するのは山地森林だが,冬には公園や人家付近の高木によく飛来し,地上でも採食する。木の実,新芽などを主食とするが,夏季には昆虫類も多く食べる。日本には 10月に冬鳥として渡来するものが多いが,北海道本州北部の一部で繁殖もしている。「ちちっ,ちちっ」と鋭い声で鳴く。

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改訂新版 世界大百科事典 「シメ」の意味・わかりやすい解説

シメ (鴲)
hawfinch
Coccothraustes coccothraustes

スズメ目アトリ科の鳥。全長約18cm,スズメよりひと回り大きい。ずんぐりした灰褐色の鳥で,円錐形の大きなくちばしが特徴。雌雄はほとんど同色。頭上は濃い褐色,眼先とのどが黒い。尾の先が白く,飛ぶときに少し開くので目だち,また翼の白い2条もよく見える。くちばしは先が鋭くとがり,冬は白黄色だが,夏は鉛色となる。行動はのっそりしている。ユーラシア大陸の温帯亜寒帯に広く分布する。日本では北海道で繁殖し,本州以南で冬を過ごす。また大陸から冬鳥として渡来するものが少なくない。林縁や疎林にすみ,とくに湿地林や川辺林を好む。1夫1妻でなわばりをもって繁殖する。落葉樹などの枝にわん形の巣をつくり,1腹4~5個の卵を産む。鋭くチッと鳴き,ときにスィーッという声を出す。明るい声でさえずる。冬は単独か小群で現れ,マツ林,二次林,農耕地,川原雑木林などにすんで,種子,果実を食べる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シメ」の意味・わかりやすい解説

シメ
しめ /

hawfinch
[学] Coccothraustes coccothraustes

鳥綱スズメ目アトリ科の鳥。全長約18センチメートル。頭部が大きく、尾が短いずんぐりとした形をしている。羽色は灰褐色で下面は淡く、翼は黒と白の帯模様がある。嘴(くちばし)は非常に太い。イギリスを含むヨーロッパ全土からアジアの亜寒帯にかけて、またイラン高原にも繁殖分布し、北の地方のものは冬にやや南下する。日本では、各地の落葉樹林に冬渡ってくるものが多いが、少数が北海道と本州北部で繁殖している。森林中の樹上に巣をかけ、5個ぐらいの卵を産む。たくましい嘴で堅果を割って食べることができ、おもに樹上で採食するが、地上にも降りる。冬は、都会の公園などでも見ることができる。

[竹下信雄]


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百科事典マイペディア 「シメ」の意味・わかりやすい解説

シメ

アトリ科の鳥。スズメに似るが,大きく翼長10cm。くちばしが太い。体の上面は褐色,頸(くび)は灰色,翼は青黒色。ユーラシア大陸中部に分布。日本では北海道で繁殖し,本州以南には冬鳥として渡来,低地の林にすむ。渡りのときは小群をなすが,冬は単独で生活。おもに植物質を食べ,堅い木の実もくちばしで割る。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「シメ」の解説

〓 (シメ)
※〓は「鳥」の左に上から「人」+「干」。

学名:Coccothraustes coccothraustes
動物。アトリ科の鳥

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