シメチジン(読み)しめちじん(英語表記)cimetidine

翻訳|cimetidine

デジタル大辞泉 「シメチジン」の意味・読み・例文・類語

シメチジン(cimetidine)

胃酸分泌抑制目的に胃潰瘍かいよう十二指腸潰瘍治療に用いる薬剤

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シメチジン」の意味・わかりやすい解説

シメチジン
しめちじん
cimetidine

1975年に開発された消化性潰瘍(かいよう)治療剤で、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療に用いられる。胃液の分泌を促進するヒスタミンのH2受容体に特異的に拮抗(きっこう)して、胃液の分泌を抑制する。ペプシンの分泌抑制作用もみられる。上部消化管出血にも有効で、消化性潰瘍治療剤のイメージを一変させた。世界各国でもっとも多く用いられている医薬品の一つで、ヒスタミンH2受容体抑制剤の最初の市販品であり、以後この方面の開発が活発となった。内服用の錠剤(200ミリグラム含有)、細粒剤(20%含有)、注射液(2ミリリットル中200ミリグラム含有)がある。ワルファリンジアゼパムクロルジアゼポキシドプロプラノロールテオフィリンフェニトインとの併用では、これらの薬物代謝排泄(はいせつ)を抑制し、血中濃度を高めることが報告されている。

[幸保文治]

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化学辞典 第2版 「シメチジン」の解説

シメチジン
シメチジン
cimetidine

N-cyano-N′-methyl-N″-[2-[(5-methylimidazol-4-yl)methylthio]ethyl]guanidine.C10H16N6S(252.34).5-メチル-4-[(2-アミノエチル)チオメチル]イミダゾールと1-シアノ-2,3-ジメチルイソチオ尿素から得られる.白色の結晶性粉末.融点140~144 ℃.メタノール酢酸に易溶,エタノールに可溶,水,ジエチルエーテルに難溶.ヒスタミン H2-受容体きっ抗作用を有する消化性潰瘍治療剤として用いられる.LD50 2600 mg/kg(マウス経口).[CAS 51481-61-9]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シメチジン」の意味・わかりやすい解説

シメチジン
cimetidine

ヒスタミンH2受容体拮抗剤(H2遮断剤)の代表的なもので,胃粘膜細胞のヒスタミンH2受容体に対して働きかけ,酸分泌を抑制する。胃潰瘍胃炎の治療に用いられる。抗ヒスタミン剤開発中に偶然発見された薬剤であるが非常に有効で,これにより従来は手術が必要であった胃潰瘍の治療も,内科的療法で治癒が期待できるようになった。しかし,薬の中断による再発率が高いため,必ず漸減療法を用いる。類似薬としてラニチジン,ファモチジンがある。(→ヒスタミン

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栄養・生化学辞典 「シメチジン」の解説

シメチジン

 C10H16N6S (mw252.35).

 ヒスタミンH2レセプターのアンタゴニストで,胃潰瘍の治療に用いられる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のシメチジンの言及

【抗ヒスタミン薬】より

…H2遮断薬は,フランスの製薬会社スミス・クライン・アンド・フレンチ社のブラックBlackらが約700種の化合物の中からブリママイドbrimamide,次いでメチアマイドmetiamideという化合物が従来の抗ヒスタミン薬で拮抗されないヒスタミンの作用に拮抗することを見いだし(1972),これがH1作用,H2作用という概念を生む端緒となった。これらは実用化には至らなかったが,次いで開発されたシメチジンは,ヒスタミンの胃酸分泌を抑制することから,胃潰瘍治療薬として実用化されるに至った。
[化学構造]
 唯一の共通点はエチルアミンの構造(-CH2-CH2-N=)を有するということで,他の部分は多様である(表,表(つづき)参照)。…

※「シメチジン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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