シマノフスキ

百科事典マイペディア 「シマノフスキ」の意味・わかりやすい解説

シマノフスキ

ポーランド作曲家。現ウクライナ領ティモショフカでポーランド貴族の家系に生まれる。1901年−1904年ワルシャワ音楽院に学び,ルビンステイン,バイオリン奏者P.コハニスキ〔1887-1934〕らと生涯にわたる親交を結ぶが,音楽院の保守性反発。1906年−1908年ベルリンに暮らしR.シュトラウスらの影響を受けるが,1912年−1914年のウィーン滞在中にドビュッシーストラビンスキーの音楽と出会い,ドイツ後期ロマン派から徐々に離れる。ウィーンを後にしてイタリア,シチリア,北アフリカ,パリなどを旅し,古代ギリシアや東洋の文化への関心を深めた。第1次世界大戦中は生地とワルシャワに暮らし,バイオリンとピアノのための《神話》(1915年),ペルシアイラン)の詩人ルーミーの詩にもとづく《交響曲第3番》(1914年−1916年),オペラ《ロゲル王(ルッジェ王)》(1918年−1924年,初演1926年)など,旺盛な作曲活動を展開。無調(無調音楽)を取り入れた独自の新古典主義様式を確立。1922年,肺結核の療養をかねてポーランド南部タトラ山麓(さんろく)のザコパネ仕事場を設け,この地の民俗音楽に接する。以後,その研究成果が高度に昇華された後期の傑作群,合唱曲スタバト・マーテル》(1925年−1926年),バレエ音楽《ハルナシェ》(1923年−1931年),ピアノと管弦楽のための《協奏交響曲(交響曲第4番)》(1932年),《バイオリン協奏曲第2番》(1933年)などが誕生した。→スタバト・マーテル
→関連項目シェリング

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改訂新版 世界大百科事典 「シマノフスキ」の意味・わかりやすい解説

シマノフスキ
Karol Szymanowski
生没年:1882-1937

ポーランドの作曲家。ショパン以後初めてポーランド音楽を国際的水準にまで高めた作品を残している。ワルシャワで作曲を学び,初め抒情的なピアノ曲やロマン主義的な交響曲,次いで印象主義的なバイオリン曲《神話》,ピアノ曲《メトピ》(ともに1915)と《仮面劇》(1916)などを書いた。しかし,1922年以降は山岳地方のザコパネに住み,ピアノ曲《20のマズルカ》(1925),バレエ《ハルナシェ》(1931),《交響曲第4番》(1932),《バイオリン協奏曲第2番》(1933)のように,素朴で力強い民謡に根ざした独自の現代的・民族的な音楽を作り出した。宗教的な作品として合唱曲《スタバト・マーテル》(1926)ほかを残している。彼の音楽は各時期によって性格が異なるが,色彩的で抒情的な美しさという点では共通性をもち,各時期に傑作を残した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シマノフスキ」の意味・わかりやすい解説

シマノフスキ
Szymanowski, Karol

[生]1882.10.6. ウクライナ,ティモショフカ
[没]1937.3.29. ローザンヌ
ポーランドの作曲家。 1901年ワルシャワに出て,ザビルスキと Z.ノスコフスキに師事。 05年に「若きポーランド」を結成し,作品発表後ベルリンへ向う。初期はドイツの後期ロマン主義の作風にならったが,のち次第にフランス印象主義やストラビンスキーの影響を受け,ショパン以後初めてポーランドにおける傑出した作曲家となる。 26年ワルシャワ音楽学校校長。主要作品は歌劇『ハギート』 (1913) ,『アレトゥーザの泉』 (15) ,『弦楽四重奏曲第1番』 (17) ,『バイオリン協奏曲』 (17) ,歌劇『ロージェ王』 (24) ,バレエ曲『ハルナシー』 (26) ,交響曲など。

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ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者) 「シマノフスキ」の解説

シマノフスキ

現ウクライナに領地を持つポーランド貴族の家庭に生まれた。活動両親とも芸術に対する造詣は深く、自然と音楽に親しんだ。この時代のポーランドにあっては急進的な傾向を持ち続けたため、若年期は当時保守性の強かっ ...続き

出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シマノフスキ」の意味・わかりやすい解説

シマノフスキ
しまのふすき

シマノフスキー

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