シバームの旧城壁都市(読み)シバームのきゅうじょうへきとし

世界遺産詳解 「シバームの旧城壁都市」の解説

シバームのきゅうじょうへきとし【シバームの旧城壁都市】

1982年に登録されたイエメンの世界遺産(文化遺産)で、首都サナアの東、同国中部のハドラマウト地方に位置する。この城壁都市の高層建築物は地上30mにも及び、そのすべてが5~8階建てで、まさにニューヨークの摩天楼マンハッタンを思い起こさせるため、「砂漠の摩天楼」あるいは「砂漠のマンハッタン」ともいわれる。高層住宅は8世紀頃から造られ始め、現在では500棟もが密集している。シバームは、古代から乳香の交易拠点として栄え、当時珍重された高価な乳香をねらう略奪侵略から守るため、建物の1階部分には窓を作らなかった。また、砂嵐を防ぎ、日陰をうまく利用するため、建物と建物の間を狭くしていた。避難路として、中層階に隣家との連絡橋が設けられた建物もある。建物上部と土台は、防水と砂漠の強烈な日差しへの対策として白く塗装されている。城壁内には、この町最古のモスクや広場、スーク(市場)、旧王宮などがある。歴史上、重要な時代を例証するものとして世界遺産に登録された。◇英名はOld Walled City of Shibam

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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