シノン(英語表記)Chinon

デジタル大辞泉 「シノン」の意味・読み・例文・類語

シノン(Chinon)

フランス中西部、アンドレ‐エ‐ロアール県ロアール川の支流ビエンヌ川沿いの町。ロアールワインの代表的な産地として有名。ジャンヌ=ダルクシャルル7世に謁見したというシノン城がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「シノン」の意味・わかりやすい解説

シノン
Chinon

フランス中西部,アンドル・エ・ロアール県の都市。人口8700(1982)。町はビエンヌ川沿いに発展し,背後丘陵には12~15世紀の大規模な城砦城壁および一部建築物が残存,現在復元工事中。百年戦争中の1429年フランス王太子(のちのシャルル7世)とジャンヌ・ダルク会見の地,大作家ラブレーの故郷として広く知られる。中世,16世紀の民家や穴居人住居跡の洞窟が多く,町並み保存地区に指定されている。周辺はブドウ酒の産地。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シノン」の意味・わかりやすい解説

シノン
しのん
Sinōn

ギリシア神話の英雄オデュッセウス血縁にあたる人物トロヤ攻略の際のギリシア軍側のスパイ。オデュッセウス(またはエペイオス)の発案により巨大な木馬を作製したギリシア軍は、その中に兵士を詰め、アテネ女神への捧(ささ)げ物と彫り込んでこれを放置した。そしてシノン1人を残し、トロヤからの撤退を偽装した。わざとトロヤ側に捕まったシノンは、プリアモス王の前で、木馬を城内に引き入れれば敗れることはないと偽り、それを信じたトロヤ側はカッサンドララオコーンが凶と預言していたにもかかわらず木馬を城内に引き入れてしまった。その夜、闇(やみ)に乗じて木馬の腹を開けたシノンは、オデュッセウスをはじめ中の兵士を導き出すとともにアキレウスの墓の上でのろしをあげ、偽装撤退していた味方の軍を呼び寄せて一気にトロヤの城市を攻略せしめた。

[丹下和彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シノン」の意味・わかりやすい解説

シノン
Chinon

フランス中西部,アンドルエロアール県の町。ロアール川の支流ビエンヌ川にのぞむ。背後の丘には,1429年にシャルル7世がジャンヌ・ダルクを引見したといわれるシノン城 (12~15世紀) がそびえる。市街には 15~16世紀の古い家並みや聖メクスム聖堂など多数の聖堂が現存。野菜や果物の缶詰,既製服工業などが立地。北西郊外のアボアヌ村にシノン原子炉がある。人口 6030 (1982) 。

シノン
Sinōn

ギリシア神話の人物。トロイ戦争の最後にギリシア方が案出した木馬の計を成功させるため,わざとトロイ方の捕虜になり,巧みな嘘をついて,トロイ人たちが腹の中に勇士たちの隠れた木馬を城内に引入れるようにしむけ,ギリシア軍の勝利に貴重な貢献をした。

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