シダアンコウ(読み)しだあんこう(英語表記)vanhoeffen whipnose

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シダアンコウ」の意味・わかりやすい解説

シダアンコウ
しだあんこう / 志田鮟鱇
vanhoeffen whipnose
[学] Gigantactis vanhoeffeni

硬骨魚綱アンコウ目シダアンコウ科に属する深海魚。日本では東北地方以南、北緯63度から南緯15度のあいだの世界の海域に分布する。雌は、体が細長く、一面に微小な棘(とげ)で覆われる。吻(ふん)は尖り、先端から長い竿が伸びる。ルアーは少し平たく、先端に向かって細くなり、基部近くに1対の糸状の突起がある。目は著しく小さく、退化的である。両顎(あご)に強い歯があり、下顎(がく)の歯は牙状で3列に並ぶ。体は全体に暗褐色。水深300~5300メートルにすみ、底引網にまれに入る。雌は体長35センチメートルになる。雄は雌に寄生しないらしい。日本から本種以外にアンドンモグラアンコウ、ローソクモグラアンコウ、オナガモグラアンコウ、クレフトアンコウの4種が知られているが、いずれも捕れることは非常に珍しい。

[尼岡邦夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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