シェルシェネビチ(Gabriel' Feliksovich Shershenevich)(読み)しぇるしぇねびち(英語表記)Габриэль Феликсович Шершеневич/Gabriel' Feliksovich Shershenevich

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

シェルシェネビチ(Gabriel' Feliksovich Shershenevich)
しぇるしぇねびち
Габриэль Феликсович Шершеневич/Gabriel' Feliksovich Shershenevich
(1863―1912)

ロシアの法律家。カザン大学、ついでモスクワ大学教授。哲学的にはコントやJ・S・ミルの、また法学上はJ・オースティンや初期イェーリングの影響を受けた、革命前ロシアにおける法実証主義の代表的学者として知られる。自然法学を批判し、法律学の対象を実定法のみに限定し、法を国家権力によって支えられる共同生活規則として把握した。国家を一定領域の一個の権力下における人々の結合とみる限りでは社会学的傾向に接近するが、法の唯一の源泉を国家に求め、権利をかかる意味での実定法の派生物ととらえ、また法による国家の拘束を否定する点で、国家主義的ともいうべき理論を形成した。近年こうした法概念と1930年代後半以降のソビエト的法概念の連続性を指摘する向きもある。主著として、『ロシア民法教科書』(1891初版)、『法の一般理論』全4分冊(1911~1912)などがある。

[大江泰一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android