サーラシ(読み)さーらし(英語表記)Szálasi Ferenc

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サーラシ」の意味・わかりやすい解説

サーラシ
さーらし
Szálasi Ferenc
(1897―1946)

ハンガリー軍人ファシスト。軍人畑を歩き、1925年から参謀本部付となる。軍内部の極右に属し、30年には人種主義的なハンガリー生活同盟に加入した。33年に排外主義、反ユダヤ主義、全体主義を盛り込んだ「軍事綱領」を発表し、農本的ハンガリー主義を唱えた。35年に軍務を退き、国家社会主義的な国民の意志党を創設。37年からナチス型の矢十字運動を展開したが、翌年国家転覆罪で投獄された。40年に釈放され、矢十字党指導者として矢十字諸派を糾合。ドイツ軍占領下の44年10月に総統として矢十字内閣を組閣し、反ユダヤのテロを行った。戦後戦犯として処刑された。

[家田 修]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サーラシ」の意味・わかりやすい解説

サーラシ
Szálasi Ferenc

[生]1897.1.6. コシツェ
[没]1946.3.12. ブダペスト
ハンガリーのファシズム運動指導者。アルメニアルテニアスロバキアなど多くの血の混った家系に生れた。第1次世界大戦に参加したのち,1925年将校。社会民族主義の理論にとらわれ,35年「民族の意思党」を結成,大衆的人気を獲得して「矢十字党」の指導者となった。 38~40年投獄されたが,出獄後枢軸に参加したハンガリーのなかで勢力を固め,44年 10月首相に就任。第2次世界大戦後アメリカ軍に拘留されたが,ハンガリー当局に引渡され,裁判ののち処刑された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android