サーモファックス(英語表記)Thermofax

改訂新版 世界大百科事典 「サーモファックス」の意味・わかりやすい解説

サーモファックス
Thermofax

アメリカのスリーエム社が1950年に開発した赤外線方式複写機の商品名。卓上型で,複写スピードが4~5秒と速く,薬品や薬液を使用しない乾式であるなどの特徴から,50年代から60年代にかけて世界的に普及した複写機。複写方式は,原稿の上に熱が加わると発色する感熱層を塗布した専用の複写用紙を重ねて赤外線を照射するもので,原稿の白い部分は赤外線を反射してしまうが,黒い部分は赤外線を吸収して温度が上昇し,複写用紙の感熱層がこの熱に反応して発色作用を起こし文字や画像を形成する。取扱いが簡便なところから多数使用されたが,赤外線を吸収しない色インキの原稿は複写できず,また,再複写ができないなどの点から,複写機としては,静電複写機の普及に伴い姿を消した。現在では,教育や会議の際に使用されるOHPオーバーヘッドプロジェクター)用の透明フィルム原稿作成用機器として活用されている。なお,このように熱を利用して複写や記録を行う方法を,一般に感熱複写法と呼ぶことがある。
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百科事典マイペディア 「サーモファックス」の意味・わかりやすい解説

サーモファックス

米国のスリーエム社が1950年に開発した赤外線方式複写機の名称。卓上型で乾式という特徴が受け入れられ,60年代まで世界に普及した。原稿を密着して赤外線で照射すると複写写真ができる。このように熱を利用して複写や記録を行う方法を一般に感熱複写法,その用紙を感熱複写紙と呼び,ファクシミリ用紙などに多用

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