サン・マルコ図書館(読み)さんまることしょかん(英語表記)Libreria di San Marco

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サン・マルコ図書館」の意味・わかりやすい解説

サン・マルコ図書館
さんまることしょかん
Libreria di San Marco

イタリア、ベネチアのサン・マルコ広場に続くピアツェッタ(小広場)に、パラッツォ・ドゥカーレと向かい合って建つ16世紀の建築。ヤコポ・サンソビーノの設計によって1536年に起工、彼の死後弟子スカモッツィに引き継がれて88年に完成した。1階のアーケードと2階のロッジアとよばれるベネチアの伝統的な形式に盛期ルネサンスの古典的様式を取り入れたこの建築を、パラディオは「古代以来建造された建物のうちでもっとも豪華なもの」と絶賛した。現在この建物内部には、ベッサリオンが1468年にベネチア共和国に寄贈した蔵書を基に成立したマルチアーナ図書館と、その所蔵品の展示館、ギリシアローマの彫刻類を集めた考古博物館がある。

[篠塚二三男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のサン・マルコ図書館の言及

【サンソビーノ】より

…彫刻は,初期(《パルトの聖母》《バッコス》)には平易で優美な造形性が,またベネチア期(《マルコの奇跡》《聖母子》)にはそれに加えて,柔らかい彫塑性に光の効果を計算した動きのある構成がみられ,作風は建築作品と共通する。代表的建築作品にサン・マルコ図書館,造幣局兼宝物庫(ゼッカ),ビラ・グラドリ,カ・コルネル(ベネチア市内最大の邸宅で,18世紀までの貴族住宅の典型となった)がある。【日高 健一郎】。…

※「サン・マルコ図書館」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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