日本大百科全書(ニッポニカ) 「サン・ピエール」の意味・わかりやすい解説
サン・ピエール
さんぴえーる
Abbè de Saint-Pierre
(1658―1743)
フランスの聖職者で政治思想家。1695年にはティロンの修道院長になり、アカデミーの会員に推薦される。1712年枢機卿(すうききょう/すうきけい)ポリニャックに随行してユトレヒト平和会議に出席、そのときの体験をもとに『永久平和の草案』3巻(1713~1717)を書く。自然法だけでなく実定法たる国際法によって列国君主による国際平和機構の設立、国際裁判所の設置、国際軍の設立、戦争放棄などを主張し、ルソーやカントなどの平和思想に大きな影響を与えた。1718年に『ポリシノディ』(多元的会議制論)を著し、ルイ14世の専制政治を批判し、貴族らからなる多元的会議制による啓蒙(けいもう)専制統治を主張したためアカデミーを除名された。
[田中 浩]
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