サンティアゴ(チリ)(読み)さんてぃあご(英語表記)Santiago

翻訳|Santiago

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンティアゴ(チリ)」の意味・わかりやすい解説

サンティアゴ(チリ)
さんてぃあご
Santiago

南アメリカ、チリの首都。アンデス山脈海岸山脈に挟まれた、標高520メートルの盆地に位置し、その外港バルパライソ港のある太平洋岸からは約180キロメートルにある。人口464万7444、サンティアゴ都市圏人口603万8974(2002国勢調査速報値)。1541年ペドロ・デ・バルディビアPedro de Valdiviaによって建設され、今日も市の中心近くにあるサンタ・ルシアの丘に最初の要塞(ようさい)が設けられたが、先住民によるたび重なる襲撃を受けた。その後、多数の教会(サン・フランシスコ教会が今日でも植民地時代のおもかげを残す)、モネダ宮殿(19世紀なかばから大統領官邸)などが建設され、川の埋立てによってアラメダ通りもつくられた。しかしサンティアゴ市が豪壮邸宅の建築などによって大きく拡大したのは、19世紀なかばの輸出農業や硝石採掘による経済発展が進んでからである。市の中心を流れるマポチョ川の洪水、大地震の被害をたびたび受けたが、近年、市の中心部や主要道路沿いなどに高層ビルが建設され、二つの地下鉄路線も敷設され、市域も拡大して、南アメリカ有数の近代都市となっている。チリの政治、経済、文化の中心地であり、同市の人口は全国の30.9%を占める。おもな工業としては、繊維、皮革、化学、薬品、機械などがある。

 気候地中海性気候で、夏は乾燥し、もっとも暑い1月の平均気温は20℃である。冬には降雨があり、もっとも寒い7月の平均気温は8.1℃となっている。5~8月が雨期で、年降水量は356ミリメートルと少ない。この気候はブドウ栽培に適し、付近は良質のワインの生産地である。マポチョ駅からは北のイキケまで、セントラル駅からは南のプエルト・モントまで鉄道が通じる。国際線、国内線用にアルトゥーロ・メリノ・ベニテス空港がある。サンティアゴ市は東に雪のアンデス山脈を望む緑の多い美しい近代都市である。市の北部にはサン・クリストバルの丘(847メートル)があって全市を展望でき、公園もあり市民の憩いの場となっている。市の中心のプラサ・デ・アルマス(中央広場)を囲んで大聖堂、市庁舎などが置かれている。ほかに図書館、博物館、市立劇場、チリ大学、カトリック大学、サンティアゴ大学などがある。

[細野昭雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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