サンタンブロージョ教会(読み)サンタンブロージョきょうかい(英語表記)Basilica di Sant'Ambrogio

改訂新版 世界大百科事典 「サンタンブロージョ教会」の意味・わかりやすい解説

サンタンブロージョ教会 (サンタンブロージョきょうかい)
Basilica di Sant'Ambrogio

イタリアのミラノにある初期キリスト教時代創建の教会堂。聖アンブロシウスが3世紀の殉教者を祭るため385年ごろ建立(彼自身もアプス(後陣)の地下に眠る)。幾度も改修され,今日の建物の大部分はロンバルディア・ロマネスク様式(11~12世紀)による。堂内にはすでにリブ・ボールトの使用が見られ,ダラム大聖堂(イギリス)とともに最も早い例の一つである。側廊につながるサン・ビットーレ・イン・チエル・ドーロ礼拝堂には,アンブロシウスの肖像を含む5世紀のモザイクが残存する。城門を背景にして並ぶキリストと十二使徒の図像を浮彫した大理石石棺も,初期キリスト教美術の貴重な作例。主祭壇は,金銀・宝石の装飾を施したカロリング朝美術名品である。
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世界大百科事典(旧版)内のサンタンブロージョ教会の言及

【イタリア美術】より

…ロマネスク芸術の中心はコムーネの精神的(ときに政治的)中心としてのカテドラル(大聖堂)であった。ミラノのサンタンブロージョ教会(850年建立,9~12世紀改造)はイタリアのロマネスク聖堂の母であり,素朴な信仰心を示す飾りけのない簡潔な構成と,古典的バランスとエレベーションの象徴的形式とを併せもつ空間を造っている。これは封建領主の力が強大で,位階制が強く人々を支配していた他の諸国と異なり,イタリアにはコムーネの自治の精神が強かったためであろう。…

【祭壇】より

…木,布,金属,象牙製などがあり,祭壇の前面自体に装飾が施される例も多い。ミラノのサンタンブロージョ教会の〈パリオット〉(9世紀)は前面ばかりでなく,他の三つの側面も金や銀などの浮彫で飾った豪華なものである。祭壇の上または背後に置かれる装飾としてはレタブルムretabulumまたはレトロアルタレretroaltare(祭壇飾壁)がある。…

【パターリア】より

…翌年運動指導者のエルレンバルドErlembaldoが死去し,運動は教皇と袂を分かち,重要性を失う。この結果キリスト教世界の中でも古くからローマのサン・ピエトロ教会と競い,北イタリア一帯に勢力をもつミラノのサンタンブロージョ教会は独自性を弱め,ローマ教会に結びつけられた。運動は都市コムーネの形成にかかわり,支配階層の封建的制約から解放される社会運動的色彩も帯びた。…

※「サンタンブロージョ教会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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