サンセベリア(英語表記)Sansevieria trifasciata Prain

デジタル大辞泉 「サンセベリア」の意味・読み・例文・類語

サンセベリア(〈ラテン〉sansevieria)

キジカクシ科チトセラン属の多年草総称。熱帯アフリカなどに分布、約60種が知られる。観葉植物として栽培サンスベリア

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改訂新版 世界大百科事典 「サンセベリア」の意味・わかりやすい解説

サンセベリア
Sansevieria trifasciata Prain

リュウゼツラン科チトセラン属の多肉質多年草で,観葉鉢物として栽培される。熱帯西アフリカの原産で,アツバチトセランとも呼ばれる。根茎から束生する根出葉は厚い革質の長披針形で,長さ40~100cmとなる。淡緑色濃緑色の横縞模様となるので,トラノオ別名がある。本種からは多くの園芸品種が生まれ,フクリンチトセランcv.Laurentiiもその1品種で,葉の縁に黄色の斑(ふ)が入る。最も普及しており,サンセベリアといえば本種をさすことが多い。草丈10~20cmの極矮性(わいせい)種としてハーニーcv.Hahnii,ゴールデン・ハーニーcv.Golden Hahniiもある。越冬には12~15℃が必要だが,乾燥に強いので,水を控えれば0℃近い低温にも耐える。株分け繁殖する。葉挿しで簡単に繁殖できるが,斑入り種は基の緑葉種に戻ってしまう。

 チトセラン属Sansevieria(英名bowstring hemp)は乾燥した熱帯アフリカを中心に分布し,インド東部にも少数種が生育する約60種ほどからなる属で,長い葉を有する種は繊維を採るのに利用される。また多肉で,葉が棒状になり,観賞用とされるボウチトセランS.cylindrica Boj.やツツチトセランS.stuckyi Godefr.などがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンセベリア」の意味・わかりやすい解説

サンセベリア
さんせべりあ
[学] Sansevieria

リュウゼツラン科(APG分類:キジカクシ科)の多年生多肉植物。熱帯アフリカ、南アフリカ、インド東部に約60種分布する。日本では観葉鉢物または切り葉用にするが、ゼイラニカS. zeylanica Willd.は原生地では繊維作物として栽培される。日本へは明治末年にチトセランS. nilotica Bak.が渡来したが、現在はアツバチトセランS. trifasciata Prainと同種とみなされている。本種からは多くの枝がわり品種がつくられているが、フクリンチトセランは葉が黄覆輪になる品種で、サンセベリアといえば本種をさすくらいに普及している。葉挿しをすると覆輪のないチトセランに戻ってしまうので、繁殖は株分けによる。ハーニー種も枝がわりで、1939年にアメリカでつくられた。葉は緑色で、高さ10~30センチメートルと小さく、鉢植えにする。ゴールデン・ハーニーはハーニーの黄覆輪種で、斑(ふ)の幅が広く美しい。これも葉挿しにすると緑葉に戻ってしまう。ほかに葉が灰白緑色のシルバー・ハーニーがある。

 高温性で冬は15℃以上で育てるが、乾燥に強く、給水を控えると0℃近くの低温でも越冬する。植換え、繁殖は6~9月の高温期に行う。

[高林成年 2019年5月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンセベリア」の意味・わかりやすい解説

サンセベリア
Sansevieria; bowstring hemp; devil's tongue

リュウゼツラン科サンセベリア (チトセラン) 属の総称。アフリカと南アジアの乾燥地に 60~70種が分布する多年草で,硬い多肉質の葉をもつ。葉は根出し,扁平または円筒形。斑 (まだら) 模様や縞状の斑文 (はんもん) が入るものが多い。古株には花茎が単生し,総状,穂状,あるいは円錐花序を形成するが,花は黄白色で観賞価値は乏しい。明治末期から観葉植物として栽培され,最もよく鉢植えで流通するアツバチトセラン S.trifasciataは,剣状の葉が長さ 40~120cmになって直立し,濃緑色と淡緑色の細かい斑状の横縞模様が入る。多くの園芸品種があり,葉縁に黄白色の斑が入る`フクリンチトセラン (ローレンティー) 'や,矮性でロゼット葉を出す`ハーニー'などが多く栽培される。本属の一部の種は,原産地で繊維作物として,葉の繊維を弓のつるやロープ,釣り糸などに利用されている。日当りと水はけのよい環境を好む。冬は水を断てば5℃程度で越冬させられる。低温過湿にすると腐って枯死する。

サンセベリア

チトセラン(千歳蘭)」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディア 「サンセベリア」の意味・わかりやすい解説

サンセベリア

アフリカ,アジアに産するユリ科の一属で,50種以上を含む。多年草で,根茎から束生する葉は繊維質でかたい。観葉植物として鉢植にされる。サンセベリア・トリファッシアータ(和名アツバチトセラン)は俗に〈虎の尾〉と呼ばれ,80cmほどになる剣状の葉に不規則な濃淡の横斑がある。この葉に黄色い縁をつけたようなのがその園芸品種のローレンティ(和名フクリンチトセラン)で,もっとも普通に栽培されている。また,長さが著しくつまって楕円状卵形をなす葉が重なり合ってつく園芸品種(ハーニー)などもある。さらに葉が円筒状をなす別種のボウチトセランやツツチトセランもある。いずれも高温を好み乾燥には強いが,低温多湿に弱い。株分け,葉ざしでふやす。

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