百科事典マイペディア
「サンショウ(山椒)」の意味・わかりやすい解説
サンショウ(山椒)【サンショウ】
古くはハジカミとも。北海道〜九州,中国の山地にはえ,人家にも植えられるミカン科の落葉低木。葉の付け根には1対のとげがあり,葉は奇数羽状複葉,独特の芳香がある。雌雄異株。4〜5月,新枝の先に緑黄色の小花を多数つける。果実は球形で径約5mm,中に黒い種子があり,9〜10月,褐色に熟す。若葉(木の芽)と若い果実を香辛料として,あえ物,刺身のつまなどとし,果実を干したものを薬用,香辛料とする。近縁のフユザンショウは関東以西の暖地の山地にはえ,常緑性で,葉軸には狭い翼があって小葉の数も少ない。本州〜九州の野原にはえるイヌザンショウは,サンショウによく似るが,とげが1本で対生しない。また,高木になるカラスザンショウは枝や幹にとげが多く,葉や花序が大型。サンショウ以外はいずれも食用としては利用されない。
→関連項目健胃薬|香辛料|ハジカミ
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
サンショウ(山椒)
サンショウ
Zanthoxylum piperitum; prickly ash
ミカン科の落葉低木で,日本各地の山中に生え,また人家に植えられる。高さ 3mに達する。葉は5~9対の小葉をもつ羽状複葉で互生し,独特の香りがある。葉のつけ根に1対のとげがある。雌雄異株。春,葉腋から短い複総状花序を出し,多数の黄緑色の小花をつける。花被片は5枚。秋に果実が熟し黒色の種子を出す。若い葉をすまし汁やあえ物に用い,種子を佃煮とし,また粉末にして香辛料とする。成熟した果実の果皮を乾燥したものが生薬の山椒で,苦味チンキをつくり芳香性健胃剤とする。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
世界大百科事典 第2版
「サンショウ(山椒)」の意味・わかりやすい解説
サンショウ【サンショウ(山椒) Japanese pepper】
果実および若葉は日本古来の香辛料で,古名をハジカミ(椒)という(イラスト)。北海道から九州までの山地に自生するミカン科の落葉低木で,人家にも植えられる。よく枝分れして高さ2~3mになる。葉は11~19枚の小葉が奇数枚羽状に集まる複葉で,長さ5~15cm,茎に互生する。小葉は縁に波のある細長い卵形で,長さ1~3cm。葉の付け根には1対のとげがある。雌雄異株で,春に葉の付け根に花穂がつき,多数の黄緑色の小花が咲く。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
世界大百科事典内のサンショウ(山椒)の言及
【コウモリ(蝙蝠)】より
…洋傘を〈こうもり〉というのも,広げた形がこの動物に似ているからである。【千葉 徳爾】 江戸時代にはコウモリがサンショウや酢を好むものとされた。《本朝食鑑》《和漢三才図会》などもサンショウを好むといっており,江戸の子どもたちは夏の夕方,〈こうもりこうもり山椒くりょ,柳の下で酢をのましょ〉と歌ってコウモリを呼んだ。…
【中国料理】より
…中華料理とも称される。中国語では料理は〈菜〉と表し,〈菜単〉とはメニューを指す。中国各地方の料理,さらに宗教に由来する〈素菜〉(精進料理),〈清真菜〉(イスラム教徒の料理)などをふくめて中国料理という。
【特色】
中国料理は世界に類のない長い歴史と普遍性をもった料理である。一般的にどの国の誰が食べてもうまい料理として,フランス料理とともにあげられる。それぞれブルボン朝,明・清王朝などの宮廷料理から発達しており,洗練されつくした国際性の高い料理といわれる。…
※「サンショウ(山椒)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報