サンカノゴイ(読み)さんかのごい(英語表記)bittern

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンカノゴイ」の意味・わかりやすい解説

サンカノゴイ
さんかのごい / 山家五位
bittern
[学] Botaurus stellaris

鳥綱コウノトリ目サギ科の鳥。全長約75センチメートル。ゴイサギより大きく、羽色は黄褐色で、全身に黒い縞(しま)や不規則な模様がある。ユーラシアおよびアフリカに広く分布する。日本には冬鳥として渡来するが、数は少ない。なお、北海道では夏期にも生息するといわれるが、繁殖の確証はまだない。沼沢や広い葦原(あしはら)にすみ、主として夜間活動し、魚、カエル、大形昆虫類などをとって食べる。昼間人間が近づくと、じっと直立姿勢をとり、このため体が周囲のアシに紛れて、発見を免れる。こうした行動は一般に擬態とよばれるが、サンカノゴイは鳥類の擬態の好例とされている。サンカノゴイ属Botaurusには4種があり、他の3種は北アメリカ、南アメリカ、オーストラリアに分布する。

[森岡弘之]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンカノゴイ」の意味・わかりやすい解説

サンカノゴイ
Botaurus stellaris; Eurasian bittern

ペリカン目サギ科。全長 70cm。全身淡い黄褐色の地に大小の黒斑が散在し,頭上が黒い。頸と脚が比較的短く,体形ヨシゴイに似る。擬態の上手なことでよく知られ,敵が近づくと,体を伸ばしてをまっすぐ上に向けて静止し,体色を周囲の植物にとけこませてしまう。ヨーロッパから東アジアインドにかけての地域とアフリカ中部,南部に繁殖分布し,広大な沼沢地や湿原に生息する。日本にはおもに冬鳥(→渡り鳥)として渡来するが,その数はあまり多くない。北海道茨城県千葉県滋賀県などで繁殖が確認されている。

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百科事典マイペディア 「サンカノゴイ」の意味・わかりやすい解説

サンカノゴイ

サギ科の鳥。翼長33cm。黄褐色の背面には黒い斑点が散在。ユーラシアからアフリカにかけて分布し,北海道では夏鳥または留鳥だが,本州以南では冬鳥である。アシ原や湖沼などにすみ,敵が近づくと頸(くび)を長くのばし,くちばしを上へ向けてじっと静止するので発見しにくい。太い声でボーッボーッと鳴く。夜行性でおもに小魚,カエル等を食べる。絶滅危惧IB類(環境省第4次レッドリスト)。

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