サラン(英語表記)Saran

翻訳|Saran

精選版 日本国語大辞典 「サラン」の意味・読み・例文・類語

サラン

(Saran) ポリ塩化ビニリデン系合成繊維の商標名。塩化ビニリデン八〇~九〇パーセント、塩化ビニル一〇~二〇パーセント程度の共重合体溶融紡糸によって単繊維・多条繊維・スフなどとしたもの。ゴムに似て弾性が強く耐水・耐薬品性にすぐれる。一九三七年、アメリカで発明魚網、網、シート類、テントなど工業用繊維として用いられる。ベロンクレハロンなども同種製品。
※女であること(1956)〈川端康成〉まがりかど「スカアトの下にはく、サランのペチコオトなどが」

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デジタル大辞泉 「サラン」の意味・読み・例文・類語

サラン(saran)

ポリ塩化ビニリデン合成繊維。魚網・シート・テントなどに利用。商標名。

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改訂新版 世界大百科事典 「サラン」の意味・わかりやすい解説

サラン
Saran

塩化ビニリデンCH2=CCl2は1840年に発見された沸点32℃の無色の液体で,古くからよく重合することで知られていた。1940年にアメリカのダウ・ケミカル社が,塩化ビニリデンを重合させたポリ塩化ビニリデンCH2-CCl2n(重合度nは約200)をサランという商標で市販しはじめた。ベロンVelon(アメリカ),クレハロンKrehalon(日本)もサランと同じ化学構造の繊維の商標である。実際にサランは,85%(重量)の塩化ビニリデン,13%の塩化ビニルおよび2%のアクリロニトリル単位から成る共重合体である。溶融紡糸法で約180℃で押し出され,急冷後,冷延伸されてボビンに巻き取られる。サランは,消火剤に用いられる四塩化炭素CCl4に類似して,塩素の割合が高い分子構造であるので,自己消火性の繊維という特色をもつ。吸湿性は0.1%と低く,また,酸や水酸化アンモニウム以外のアルカリに侵されない。シクロヘキサノンジオキサンに溶解し,ドライクリーニング溶剤には影響されない。虫やカビがつかず衛生的なため食品包装用フィルム(サランラップ,クレラップなど,いずれも商標)として家庭で親しまれているが,主要用途は自動車内装であり,喫茶店の内装にもよく使用され,日本では漁網に多く使われる。
ポリ塩化ビニリデン
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サラン」の意味・わかりやすい解説

サラン
さらん
Raoul Salan
(1899―1984)

フランスの軍人。陸軍大将。第二次世界大戦前は海外各地に長く勤務し、大戦後はインドシナ派遣軍総司令官、アルジェリア派遣軍総司令官を歴任した。「フランス領アルジェリア」を叫んだ1958年5月のアルジェのフランス植民者の反乱に加担してドゴール担ぎ出しに一役買った。再登場後のドゴールがアルジェリア独立容認に傾いたため1961年4月の軍事反乱に加担し、反乱失敗後、欠席裁判で死刑を宣告された。テロ組織OASを創設しドゴールのアルジェリア政策への反対を続けたが、1962年に逮捕され終身禁錮に減刑された。1968年に特赦で釈放された。

[平瀬徹也]

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百科事典マイペディア 「サラン」の意味・わかりやすい解説

サラン

米国のダウ・ケミカル社およびその技術提携会社の製造する塩化ビニリデンフィルムおよび繊維の商品名。→塩化ビニリデン樹脂
→関連項目合成繊維

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サラン」の意味・わかりやすい解説

サラン
Saran'

カザフスタン中部,カラガンダ州の都市。カラガンダ炭田の採炭中心地の一つで,州都カラガンダの南西約 30kmに位置する。 1946年建設され,54年市となった。カラガンダと鉄道,ハイウェーで連絡。人口6万 2600 (1991推計) 。

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栄養・生化学辞典 「サラン」の解説

サラン

 ポリ塩化ビニリデンを主成分とする合成樹脂で,フィルムなどに加工して利用されている.

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367日誕生日大事典 「サラン」の解説

サラン

生年月日:1899年6月10日
フランスの軍人
1984年没

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世界大百科事典(旧版)内のサランの言及

【化学繊維】より

…ドライクリーニング用のトリクロロエチレンで膨潤を起こすので,これの使用は避ける。
[ポリ塩化ビニリデン系]
 1940年にアメリカのダウ・ケミカル社でサランSaran(商標)として工業化された古い合成繊維。クレハロンKurehalon(商標)もこれに属する。…

【化学繊維】より

…ドライクリーニング用のトリクロロエチレンで膨潤を起こすので,これの使用は避ける。
[ポリ塩化ビニリデン系]
 1940年にアメリカのダウ・ケミカル社でサランSaran(商標)として工業化された古い合成繊維。クレハロンKurehalon(商標)もこれに属する。…

※「サラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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