サブラータの古代遺跡(読み)サブラータのこだいいせき

百科事典マイペディア 「サブラータの古代遺跡」の意味・わかりやすい解説

サブラータの古代遺跡【サブラータのこだいいせき】

リビアの北西部にあった古代都市跡。首都トリポリより西へ約70km,チュニジア国境付近に位置する。カルタゴを中心に西地中海交易圏を形成していたフェニキア人が,前8世紀ごろ交易拠点として建設した都市で,古代ギリシア人からはレプティス・マグナ,オエア(現,トリポリ)と共にトリポリス Tripolis(三つの都市の意)と呼ばれていた。2〜3世紀にはローマ帝国の植民地となり最盛期を迎えたが4世紀には大地震が相次ぎ徐々に衰退していった。遺跡の中で特に有名なのがローマ人が建設した大理石で作られた三層構造の円形劇場で,高さ80mにも達し,北アフリカでは最大規模である。この他,ローマ都市遺跡として神殿群,教会,公衆浴場などが発掘され,その文化的価値から1982年世界文化遺産に登録された。地中海に面しており,近年,塩害浸食による被害が大きい。2011年のリビア内戦において,形勢が不利となったカダフィー派が円形劇場を軍事基地として利用し,遺跡を盾にしたことで非難をあびた。

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世界遺産詳解 「サブラータの古代遺跡」の解説

サブラータのこだいいせき【サブラータの古代遺跡】

1982年に登録されたリビアの世界遺産(文化遺産)で、首都トリポリの西約65kmの地中海沿岸にある古代遺跡群。サブラータは、地中海貿易で活躍していたフェニキア人が、紀元前9~前8世紀に、中部アフリカの国々と象牙、金、宝石などの交易を行う拠点として建設した都市。その後、サブラータはローマ帝国の支配下となり、2~3世紀にローマの植民地に昇格し、最盛期を迎えた。しかし、4世紀に相次いで大地震の被害を受け、次第に衰退していった。サブラータの町は長い間、砂に埋もれ忘れ去られていたが、1937年から発掘作業が進められた。ここから、北アフリカ最大規模といわれる円形劇場のほか、神殿群、アゴラ(広場)、バシリカ式教会、公衆浴場などの遺跡が出現した。劇場や公衆浴場跡からは、モザイク床板も見つかっている。このようなローマ都市遺跡としての価値が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はArchaeological Site of Sabratha

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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