サトウ・ハチロー(読み)さとうはちろー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サトウ・ハチロー」の意味・わかりやすい解説

サトウ・ハチロー
さとうはちろー
(1903―1973)

詩人。東京に生まれる。本名佐藤八郎。陸奥速男(むつはやお)、並木(なみき)せんざ、玉川映二、星野貞志、清水操六、山野三郎、倉中佳人、熱田房夫ともいった。小説家佐藤紅緑(こうろく)の長男。立教中学中退。1926年(大正15)第一詩集『爪色(つめいろ)の雨』を刊行。第二次世界大戦終了まではユーモア作家、歌謡曲詩人として活躍。戦後は雑誌『赤とんぼ』『少年少女』を基盤に童謡一筋に励み、『叱(しか)られ坊主』(1953)、『木のぼり小僧』(1954)を出版。『リンゴの唄(うた)』の作詞、テレビのタイトル詩「おかあさん」により多くの人に親しまれた。芸術選奨紫綬褒章(しじゅほうしょう)を受け、新人養成のため木曜会を結成、『木曜手帖(てちょう)』を創刊。44年(昭和19)日本童謡協会をつくり会長となり、46年日本音楽著作権協会会長に就任。73年勲三等瑞宝章(ずいほうしょう)受章没後、東京都文京区弥生(やよい)にサトウハチロー記念館が設立されたが、96年(平成8)岩手県北上市へ移転した。

藤田圭雄

『『サトウハチロー童謡集』(1977・弥生書房)』『『サトウハチロー・ユーモア小説選』全20巻(1976~79・岩崎書店)』

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百科事典マイペディア 「サトウ・ハチロー」の意味・わかりやすい解説

サトウ・ハチロー

詩人。本名佐藤八郎。佐藤紅緑の長男。東京生れ。立教中学中退。15歳で,西条八十入門,童謡をつくりはじめる。1930年からは歌謡曲の作詞もはじめる。一方,詩集《爪色の雨》(1926年),《おかあさん》(3巻。1961年―1963年)がある。童謡〈めんこい仔馬〉〈ちいさい秋みつけた〉,歌謡曲〈リンゴの唄〉〈長崎の鐘〉など。
→関連項目菊田一夫佐藤愛子中田喜直

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サトウ・ハチロー」の意味・わかりやすい解説

サトウ・ハチロー

[生]1903.5.23. 東京
[没]1973.11.13. 東京
詩人,小説家。本名,佐藤八郎。父は小説家佐藤紅緑。各地の中学校を転々としたのち,立教中学校を中退。福士幸次郎や西条八十に師事詩作を始め,童謡の作詞家として認められ,天性ヒューマニズムと豊かな抒情性によって多くの愛唱歌を生んだ。また,浅草軽演劇の台本や,ユーモア小説も書き,歌謡曲の作詞にも活躍した。第2次世界大戦後は童謡の復興に努め,敗戦直後歌われた『りんごの歌』や中田喜直作曲の『ちいさい秋みつけた』,テレビ番組のタイトル詩『おかあさん』などで人々に親しまれた。童謡集『少年詩集』 (1951) ,『スカンクカンクプウ』 (60) ,『タムタムナムナム』 (63) などがある。異母妹に小説家佐藤愛子がいる。

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367日誕生日大事典 「サトウ・ハチロー」の解説

サトウ・ハチロー

生年月日:1903年5月23日
大正時代;昭和時代の詩人;児童文学作家
1973年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のサトウ・ハチローの言及

【軽演劇】より

…その後〈ムーラン〉は,さらに作家として中江良夫,金貝省三,小沢不二夫ら,俳優として左卜全(1894‐1971),明日待子,小柳ナナ子,有島一郎,千石規子らの俳優を育てた。かたや〈ピエル・ブリアント〉では,菊谷栄,サトウ・ハチロー(1903‐73),和田五雄らが喜劇を書き,俳優陣に柳田貞一,武智豊子(〈ムーラン〉から移籍)らがいた。 一方,31年に日本にも登場した本格的トーキーによって,サイレント映画の弁士が失職。…

【童謡】より

…しかし,子どもの流行歌としての〈レコード童謡〉の量産がその質の低下をもたらし,戦後再び子どもの歌の運動が起きた。〈赤い鳥〉の流れをくむ詩人サトウハチロー(1903‐73)や新進作曲家団伊玖磨(1924‐ ),芥川也寸志(1925‐89),中田喜直(1923‐ )らによるもので,NHKのラジオ番組〈歌のおばさん〉を媒介とし,ここから《めだかの学校》《ぞうさん》など,簡単な旋律でありながら,芸術味のある歌が誕生した。ついで中田喜直,磯部俶(1917‐ )らによる〈ろばの会〉が結成され,彼らは〈レコード童謡〉のイメージから脱皮すべく童謡の名称を用いず,〈こどものうた〉とよんだ。…

※「サトウ・ハチロー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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