サスーン家(読み)サスーンけ

改訂新版 世界大百科事典 「サスーン家」の意味・わかりやすい解説

サスーン家 (サスーンけ)

デビッド・ベン・サスーンDavid ben Sassoon(1792-1864)を始祖とするイギリスのユダヤ系名望家族。その一族はアジア各地などにひろがっている。もともとはバグダード豪商であったが,イギリス東インド会社の発展につれボンベイに拠点をおき大いに栄える。全アジアに取引網を拡大したが,一族係累の数は非常に多く,日本にも居留地貿易時代から神戸にきており(邸宅が異人館として保存されている),横浜でも活躍した。イギリスのサスーン家は慈善事業でも有名でユダヤ人運動にもかかわっているが,第2世代の息子たち3人はイギリス王室を含む社交界の名士となり,孫のエドワードEdward S.(1856-1912)はユダヤ人社会の指導者で政治家。その息子フィリップPhilip S.(1888-1939)は空軍次官(1924-27,1931-37)だったが美術収集家として著名。傍系にも,ヘブライ語古文書の収集・研究のフローラFlora S.(1859-1936)や詩人・小説家のジークフリード,実業家のビクターVictor S.(1881-1961)など多才な人物が輩出している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android