サシチョウバエ

改訂新版 世界大百科事典 「サシチョウバエ」の意味・わかりやすい解説

サシチョウバエ (刺蝶蠅)
sand fly

双翅目チョウバエ科サシチョウバエ亜科Phlebotominaeに属する昆虫の総称。名前からは,ハエの仲間のようであるが,長角亜目(カの仲間)に属する。雌のみが吸血する。口器は,アブやヌカカと同じく,皮膚に傷をつけて流れ出る血液を吸う。ほとんどの種は,トカゲヘビなど変温動物の血液を吸うが,人を含む温血動物を吸血する種もある。熱帯亜熱帯に多く,世界で1000種以上の記録があるが,日本には東北地方と沖縄からおのおの1種記録されているのみである。成虫の翅は,同科のチョウバエに比べて細長く,静止する際には,翅を上にあげるのが特徴である。幼虫は,畜舎やその周辺の暗くて湿気の多い岩の割れ目石下などに生息する。水生のものはまだ見つかっていない。幼虫の食物は,動物の排泄物などの有機物である。成虫の食物は,雌では種々の動物の血液であるが,雄はみつである。幼虫期間は4~6週,さなぎの期間は約10日である。雌は羽化後,5~10日で産卵する。中国,中近東,アフリカ,中・南米大陸には,サシチョウバエが媒介する寄生虫病(リーシュマニア症)がある。病原体は,原生動物リーシュマニアLeishmaniaで,内臓,皮膚,粘膜などを侵す。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サシチョウバエ」の意味・わかりやすい解説

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