サケミヤシモドキ(読み)さけみやしもどき(英語表記)turu palm

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サケミヤシモドキ」の意味・わかりやすい解説

サケミヤシモドキ
さけみやしもどき
turu palm
[学] Oenocarpus bataua var. oligocarpus (Griseb. & H.Wendl.) A.J.Hend.
Jessenia oligocarpa Griseb. et Wendl.

ヤシ科(APG分類:ヤシ科)サケミヤシモドキ属5種中の1種。トリニダード島原産で、他の4種はコロンビアペルー、ブラジル原産である。学名ジェセニアプロシアの植物学者カール・イェッセンCarl Jessenにより、オリゴカルパはラテン語で少数果の意味である。本属はOenocarpusに含めていたが、雌しべが非常に多く、胚乳(はいにゅう)が著しく錯道的(侵食状黒条痕がある)組織なのでジェセニアとして区別された。単幹直立の中形ヤシで高さ16メートル、径25センチメートル、環紋状の葉痕(ようこん)がある。葉は羽状葉で全裂し、斜め上に直伸して湾曲は少なく、長さ5メートル、全幅3メートル。小葉は淡緑色、披針(ひしん)形で長さ1.5メートル、幅0.8メートル、中軸に互生する。肉穂花序は長さ1.5~2メートルで、花柄に多数の花軸が枝状に垂れ、雌花は花軸の基部近くに着生するが比較的少数である。果実は灰青黒色、楕円(だえん)形、長さ2.5センチメートル、径2センチメートル。種子黒褐色楕円形で長さ2センチメートル、径1.6センチメートル、表面に網模様があり、内部組織には白色タンパク質赤褐色の放射状錯道がある。

 名は、果実から酒をつくるのでサケミヤシとし、いわゆるサケヤシに胚乳の錯道質以外は酷似するのでモドキを付加したものであるが、現在は酒をつくる習慣はない。

[佐竹利彦 2019年4月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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