サクラソウ(桜草)(読み)サクラソウ

百科事典マイペディア 「サクラソウ(桜草)」の意味・わかりやすい解説

サクラソウ(桜草)【サクラソウ】

サクラソウ科多年草で,北海道南部,本州,九州の川岸や高原地方の草地にはえ,朝鮮,中国東北,東シベリアに分布。全草に白い軟毛があり,やわらかい。葉は卵形で長さ4〜10cm,長い柄がある。4〜5月,15〜40cmの花茎の上端に径2〜3cmの淡紅色,まれに白色の花を数個〜十数個散形状につける。花冠は5裂し,裂片の先はくぼみ,基部に花筒がある。江戸時代から観賞用に栽培され,花色,花型の変化に富んだ多くの園芸品種がある。そのほか近縁のイワザクラオオサクラソウクリンソウコイワザクラユキワリソウハクサンコザクラなど約15種が日本に野生し,山草として珍重されている。サクラソウ属(プリムラ)は世界に約600種あり,ヒマラヤから中国西部が分布の中心。外国産の多くの種類が花壇鉢植として広く使われている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サクラソウ(桜草)」の意味・わかりやすい解説

サクラソウ(桜草)
サクラソウ
Primula sieboldii

サクラソウ科の多年草。東シベリアなど東北アジアの冷温帯にも分布する。日本各地の山野湿地に自生し,また観賞用に広く栽培される。地下の根茎から長い葉柄のある4~10cmの長楕円形の葉を多数出す。4月頃,葉間から直立する長い花茎を出し,その先に数個のピンクの花を散形状につける。花冠は直径約 2cmで5つに裂けサクラの花のように展開し,基部は筒状になる。おしべ5本は花冠の裂片と対生し,めしべの花柱は短いものと長いものがある。花色は白色,紅色,紅紫色などいろいろあり,また大きさにも変化が非常に多い。日本では江戸時代から盛んに栽培され,園芸品種の数は 200~300もある。これらを総称してニホンサクラソウという。日本産の同属のものには湿地に生じる大型のクリンソウ (九輪草)をはじめ,高山性のヒナザクラ,ハクサンコザクラ (白山小桜)ユキワリソウ (雪割草)などがある。

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