ゴンドラ(読み)ごんどら(英語表記)gondola

翻訳|gondola

精選版 日本国語大辞典 「ゴンドラ」の意味・読み・例文・類語

ゴンドラ

〘名〙 (gondola)
イタリアベネチア名物の、平底で幅のせまい、船首船尾の持ち上がった形の船。
即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉水の都「われは始て『ゴンドラ』といふ小舟を見き」
② 人や物を高所まで引き上げたり、下ろしたりするための吊りかご。気球ロープウェー飛行船の吊りかご、客室など。また、ビル屋上からつり下げる、工事用のものをさすこともある。
※残酷な月(1961)〈菊村到ジンギスカンの夜「ふもとまでは、ゴンドラのロープ・ウェイになっている」

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デジタル大辞泉 「ゴンドラ」の意味・読み・例文・類語

ゴンドラ(〈イタリア〉gondola)

イタリア、ベネチアの運河で使われる平底船。船首・船尾が反り上がり、船体は細長く、1本かいで操る。
飛行船・気球の釣りかご風の搭乗室。また、ロープウエーの客室。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴンドラ」の意味・わかりやすい解説

ゴンドラ
ごんどら
gondola

イタリアのベネチアの運河内で使用されている手漕(てこ)ぎの軽舟。船首、船尾ともに高く反り上がっており、操船者は船尾近くに立って1本のオールで船を推進する独特のもの。反り上がった船首の頂部には、輝かしい金属製の飾りが、古代軍船にあった敵船へ突っ込むためのくちばし形のロストラムス(船嘴(せんし))の名残(なごり)を残して取り付けられている。ゴンドラの歴史は明瞭(めいりょう)ではないが、1094年にさかのぼる記録にはすでに現れている。船体の流線形は、現代造船学からみても効率的な形である。イタリアではこのほかに、8本または6本のオールによって漕ぐ小舟もゴンドラとよんでいる。

[茂在寅男]


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改訂新版 世界大百科事典 「ゴンドラ」の意味・わかりやすい解説

ゴンドラ
gondola

ベネチアの運河で使われている小型の遊覧船。船首,船尾が反り上がり,船首材には,ローマ神話の海神ネプトゥヌスが持つ三叉のほこをかたどったといわれる飾りがついている。現在は1人こぎだが,2人,4人こぎもあった。その起源は明らかでないが,11世紀末の文献にその名が見える。15世紀末の絵画では船首飾がなく,16世紀末にはアムステルダム,18世紀にはロンドンのテムズ川でも使われていた絵画が残っている。
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百科事典マイペディア 「ゴンドラ」の意味・わかりやすい解説

ゴンドラ

イタリアのベネチアで用いている運河交通用の小舟。長さ7〜10m,幅1.2〜1.5m,平底で船首・尾は高くそり上がり,船頭は船尾のポッパと呼ぶ台の上で櫂(かい)でこぐ。中央の客席に5〜6人を乗せる。運河が道路の役目を果たしている同市で11世紀ごろから使用,最盛期の16世紀には1万隻に達したという。色は市会の法令で1562年以来黒に統一。現在はモータボートなどに押されて減少,主として観光客用である。なお気球のつりかご,ロープウェーの搬器などもゴンドラという。
→関連項目ロープウェー

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴンドラ」の意味・わかりやすい解説

ゴンドラ
gondola

イタリアのベネチアで使用されている細長い川船の1種で,船型に特徴がある。漕ぎ手は船尾で船首を向いて立ち,を使って船を進めるが,櫂の操作は日本のねり櫂とほぼ同様で,オールとはまったく違う点が珍しい。原理的にはに近い推進法である。

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とっさの日本語便利帳 「ゴンドラ」の解説

ゴンドラ

スーパーの売場の陳列棚のこと。

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