ゴレ島(読み)ゴレトウ

デジタル大辞泉 「ゴレ島」の意味・読み・例文・類語

ゴレ‐とう〔‐タウ〕【ゴレ島】

Goréeセネガルの首都ダカールの沖合約3キロメートルに浮かぶ大西洋上の小島。1815年、統治国であったフランス奴隷売買を禁止するまで、奴隷貿易拠点として栄えた。セネガル最古のイスラム教モスクカトリック聖堂などが残る。1978年、世界遺産文化遺産)に登録された。

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改訂新版 世界大百科事典 「ゴレ島」の意味・わかりやすい解説

ゴレ[島]
Île de Gorée

アフリカ大陸西端,セネガルの首都ダカールが位置するベルデ岬の沖わずか3kmにうかぶ最大長900m,幅300mほどの島。セネガル領。小島であるが,アフリカの歴史上重要な位置を占める。1444年,ポルトガル人がこの島を発見したときには無人島でパルマ島と名づけられた。彼らはここに商業基地を設け,奴隷,蜜蠟,アラビア・ゴムなどの集荷基地とした。奴隷も“商品”と考えられた時代である。1588年にはオランダの手にわたり,17世紀に入りゴレ島と名づけられた。17世紀,ゴレ島を含めたセネガル沿岸地域では,イギリス,フランス,オランダ,ポルトガル各国の商業権争いが繰りひろげられた。1664年にゴレ島はイギリス領となるが,すぐにまたオランダ領となり,次いでフランス領,さらにイギリス領とめまぐるしく変わった。1783年,イギリスは島の専有権をフランスに与え,その代りにフランスはガンビアの専有権をイギリスに認めた。この間,内陸部から現地人を介して集められた奴隷は西アフリカ各地の港からアメリカ大陸に送られたが,ゴレ島もそのような集荷・発送基地であった。奴隷が集められ,白人商人の間で売買された館が残っている。
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世界遺産詳解 「ゴレ島」の解説

ゴレとう【ゴレ島】

1978年に登録されたセネガルの世界遺産(文化遺産)。首都ダカールの沖合3kmに浮かぶ、東西300m、南北900mの孤島である。1444年にポルトガル人がこの島に上陸して以来、オランダ、イギリス、フランスが、次々とこの島を支配してきた。ポルトガル人は蜜蠟などを母国へ運ぶ際の集荷地としてこの島を利用したが、その後アフリカ内陸部の奴隷、アラビアゴム黄金、蜜蠟などの交易拠点としての重要性が増してきたことにより、イギリス、フランス、オランダ、ポルトガルの商業権争いの舞台となり、最終的にセネガル本土とともに、フランスがこの島を勢力下に収めた。こうしたことから、この島は1814年に、当時の統治国だったフランスが奴隷貿易を廃止するまで、奴隷貿易の拠点として栄えた。1776年に建設され奴隷の収容施設として使われた「奴隷の家」が博物館として公開されている。また、この島にはセネガル最古の石造のモスクや、18世紀の古典主義様式のカトリックの聖堂も残っている。◇英名はIsland of Gorée

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ゴレ島」の解説

ゴレ島(ゴレとう)
Gorée

西アフリカ,セネガルダカール沖の小島。15世紀にポルトガル人に発見されたのち,イギリス,オランダ,フランスが領有権を争ったが,1783年以降はフランスが領有。19世紀初めまで,奴隷貿易の基地になった。現在はユネスコの世界遺産。

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