日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
コーネル(Eric A. Cornell)
こーねる
Eric A. Cornell
(1961― )
アメリカの物理学者。カリフォルニア州パロアルト生まれ。高校3年の直前にマサチューセッツ州ケンブリッジからサンフランシスコに引っ越して、秀才が集まるローウェル高校に転校、卒業してスタンフォード大学に入学した。そこで低温物理学の研究グループに参加。1985年にマサチューセッツ工科大学(MIT)で大学院生として研究を始める。1990年に博士号を取得。
このころからレーザーを使って原子の温度を下げる「レーザー冷却」に関心をもつ。職を求めて国立標準技術研究所で研究成果を報告したとき、コロラド大学と同研究所が共同で運営する宇宙物理学複合研究所(JILA:Joint Institute for Laboratory Astrophysics)のC・ワイマンと知り合う。ワイマンに誘われて、1990年からJILAで共同研究。最初の2年間ほどで、研究の方向を「ボース‐アインシュタイン凝縮」に定める。これは、絶対零度(-273.15℃)近くまで原子を冷却すると、多くの原子がひとつの原子であるかのようにそろって運動する現象である。JILAでの研究で1995年に、約2000個のルビジウム原子を絶対零度まであと1億分の2℃というところまで冷やし、ボース‐アインシュタイン凝縮の状態に到達させることに成功した。この業績により、共同研究者のワイマン、またこれとは別にボース‐アインシュタイン凝縮の実現に成功したW・ケターレとともに、2001年のノーベル物理学賞を受賞した。
[馬場錬成]