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「コンピューター」の意味・わかりやすい解説
コンピューター
電子回路を利用する計算装置の総称。電子計算機とも。今日では主として電子式デジタル型自動計算機でプログラム内蔵方式のものをさす。1946年の米国のENIACに次いで1947年にフォン・ノイマンがプログラム内蔵方式を提案,1949年英国ケンブリッジ大学のウィルクスらによって水銀遅延回路記憶装置をもつプログラム内蔵方式のコンピューターEDSACが作られた。これが今日のコンピューターの原型となった。 一般に入出力装置,演算装置,記憶装置,制御装置から構成される。演算装置の主体をなす計算回路は,多数の電子的スイッチ素子の集合体といえるもので,この中で数値はすべて二進法で表現され,スイッチ素子の開閉の状態が0と1とに対応させられる。回路に電気的パルスが送り込まれるとスイッチ素子群は次々と開閉動作を繰り返し,演算が進行する。記憶装置に蓄積された数値やデータは必要に応じて演算装置との間でやりとりされる。これらと入出力装置を含めた全体的システムを進行させ制御するのが制御装置である。 コンピューターの特色としては次のような点がある。(1)高速度の計算能力。計算回路を駆動するパルスはふつう数十kHz〜数万MHzのものが用いられる。(2)計算の手順・命令を符号化した〈プログラム〉が記憶装置の中にあらかじめ与えられ,完全な自動計算機として働くこと。(3)演算装置は数の計算にだけでなく判断を伴う論理的作業(論理演算)に広く用いられる。たとえば比較,選択,分類,照合,編集など。理論的には人間の論理的思考のすべてを代行し得る。(4)計算途中の結果に応じて記憶されたプログラムの中から必要な部分を選択し,計算過程を変更することが容易になったこと。すなわち与えられた問題と状況に応じて作業内容を変えていくという柔軟性の獲得。プログラム内蔵方式によって生まれた最も著しい利点。(5)記憶能力が著しく大きくなったこと。記憶装置も大容量化の一方,パーソナルユーズにも適応,構成も内部・外部,高速・低速の組合せで高度化してきたこと。(6)数だけに限らず,データ,文字,言語,図形,音声など何であれ,それが二進法の数字として符号化される限りすべての情報が処理され得ること。 利用される分野には次のものがある。1.主としてその計算能力を利用する科学技術計算,2.主として論理的処理能力を利用するもの,たとえばデータ処理,3.計算と論理性の双方に重みがかかる場合,たとえば国勢調査や保険,会社,銀行などでのビジネス計算,4.大容量記憶能力と必要なものを調べたり抽出したりする能力の利用,たとえば座席予約システム,情報検索,機械翻訳,5.シミュレーションへの利用,6.計算機制御への利用,7.オートマトンの研究,製作への利用などがあげられる。一方,半導体技術の向上により卓上型のパーソナルコンピューターも開発当初の大型コンピューター並みの性能をもつようになり,各種ソフトウェアも大量に生産され個人使用も盛んになった。→事務機械/メインフレーム/コンピューター産業
→関連項目オペレーティングシステム|機械語|計算機|コンピューターグラフィックス|システム工学|自然言語処理|CPU|人工知能|スーパーコンピューター|第5世代コンピューター|タッチパネル|デジタル計算機|統計機械|ノイマン型計算機|ハードウェア|ファジー論理|プログラム言語|マイクロコンピューター|メモリー
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知恵蔵
「コンピューター」の解説
コンピューター
専門の程度によって違うが、コンピューターの最も一般的で緩い定義は、計算する機械であること。通常は、計算の手順(アルゴリズム)を記述したプログラムをメモリー中に記憶させ(プログラム内蔵方式)、それに従って計算が自動的に実行される機械をコンピューターであると定義する。1936年、数学者アラン・チューリングは、数学の基礎的な問題を追求している過程で、計算する人(計算手、コンピューターの語源)の動作を論理のレベルで抽象化したモデルを提唱した。そのモデルをチューリング・マシンと呼び、専門家はこれと論理的に等価な機械をコンピューターの最も狭い定義としている。
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コンピューター【computer】
電子回路を用いた計算装置の総称。メモリーに記憶させたプログラムに従って、計算などの処理を高速度で行う機械。1946年、アメリカのペンシルベニア大学で開発された「ENIAC(エニアック)」が世界最初とされる。◇「コンピュータ」「電子計算機」「電算機」ともいう。
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デジタル大辞泉
「コンピューター」の意味・読み・例文・類語
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コンピューター
あらかじめ決められた命令に従って演算を行う機械の総称。電子計算機とも呼ばれる。個人で利用するパソコンや電卓から、企業や研究機関で利用するスーパーコンピューターなども含めて、すべてコンピューターに含まれる。
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コンピューター【computer】
最も広義には,計算を行う機械,すなわち計算機のこと。通常はディジタル電子回路を用いて,数値計算や論理計算を行う機械,すなわち電子計算機を指す。この場合,ディジタルであることを強調して,ディジタルコンピューターともいう。広義のコンピューターは,アナログ電子回路を利用しておもに数値計算を行うアナログコンピューターを含む。本項は,ディジタルコンピューターに限定して記述する。 なお,人間の脳が行うような計算を電子的に行うので,登場当初(1940~60年代)は電子頭脳とも呼ばれた。
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世界大百科事典内のコンピューターの言及
【オートメーション】より
…前者のためには工程のおかれている状態を機械的に感知・計測し,得られた情報にしたがって必要な制御を機械に指示してやる回路を形成する技術,いわゆるサイバネティックスと総称される分野の技術の発展が必要であった。初期には簡単な計器によるフィードバック制御やシーケンス制御が頼られていたが,コンピューターの登場,計測・制御関連機器の発展とともに,以前とは比較にならぬ複雑で柔軟なシステムの構成が可能になった。とくにコンピューターのマイクロ化はこの分野に画期をもたらすことが予想される。…
【情報科学】より
…こうして20世紀の半ばに情報科学が誕生する。とくに情報を直接に処理する装置であるコンピューターが発明され急激に発展したため,情報を核として機械文明を再編成する必要に迫られ,情報化社会の到来といわれるようになってきた。今日,情報科学の比重がますます増大しつつある。…
【ニューメディア】より
…彼は,〈メディア論のための積木箱〉(《Kursbuch》1970年3月号)のなかで,〈neue Medien〉という言葉に特別の意味を込めた。ここで〈ニュー・メディア〉とみなされたのは,通信衛星,カラーテレビ,有線テレビ(CATV,〈ケーブルテレビ〉),カセットビデオ,ビデオレコーダー,テレビ電話,ステレオ,レーザー技術,静電コピー,高速電子プリンター,教育機器,電子顕微鏡,無線印刷,ディジタルコンピューターである。こうした文脈のなかでは,90年代に普及するインターネットに至る電子メディアの流れが一貫したものとして把握できる。…
※「コンピューター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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