コンテ(読み)こんて(英語表記)conté フランス語

精選版 日本国語大辞典 「コンテ」の意味・読み・例文・類語

コンテ

〘名〙 (continuity の略) 映画テレビなどの撮影台本。カットごとにその画面構成人物の動き、所要時間などを書き込んだもの。コンティニュイティー絵コンテ
白痴(1946)〈坂口安吾〉「企画をたてコンテを作ってゐるうちに」

コンテ

〘名〙 (conté) 素描用クレヨン一種。もと商標名。一九世紀、フランスニコラ=ジャック=コンテが創製顔料に蝋や油脂を混ぜて細い棒状に固めたもので、鉛筆と木炭の中間濃度をもち、クロッキーに適する。〔モダン用語辞典(1930)〕

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デジタル大辞泉 「コンテ」の意味・読み・例文・類語

コンテ

《continuityの略》映画の撮影台本。シナリオをもとにして、画面ごとに実際の撮影に即したせりふ動作・撮影法などの細かい指示を書き込んだもの。ラジオ・テレビの放送台本についてもいう。

コンテ(〈フランス〉conté)

デッサン用のクレヨンの一。鉛筆よりやわらかく、濃淡を出しやすい。フランスの化学者コンテ(N.J.Conté)の創製。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンテ」の意味・わかりやすい解説

コンテ
こんて
conté フランス語

素描用画材の一種。コンテ・クレヨンconté crayonの略で、フランスのコンテ社製の棒状画材に由来する。白、黒、セピア(褐色)、サンギーヌ(赤褐色)の4種の色がある。18世紀末、発明家のニコラ・ジャック・コンテNicolas-Jacques Contéが、粉末化した石墨に粘土を加えて焼き固めた鉛筆を発明したが、彼はコンテ社をつくって、白亜、ヘマタイト、木炭などの顔料(がんりょう)を基材とした多くの画材、筆記用具を製造販売した。これらは種類が多様で、つなぎ剤も粘土のほかワックスなどの油脂も用いられた。そのほか焼かずに圧(お)し固めたものもあり、固さ、粘度などを自由に調整できるのが利点である。

 17、18世紀に素描用画材として愛用されたサンギーヌsanguine(あるいはサンギン)は、ヘマタイトとよばれる鉄酸化物と粘土の天然の混合物であるが、19世紀以降はコンテに加工されたものが一般的となった。サンギーヌの名は血を意味するギリシア語に由来し、鮮やかな赤褐色である。

[八重樫春樹]

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百科事典マイペディア 「コンテ」の意味・わかりやすい解説

コンテ

映画の撮影台本。コンティニュイティの略。シューティング・スクリプトとも。監督がシナリオをもとに撮影のための技術的プランを記入したもの。場面の割り方,各ショットのカメラの位置,演技,照明,音響効果等を分析記入する。

コンテ

フランスの科学者,画家コンテ〔1755-1805〕の創案した素描用の棒状絵具。硬軟各種あるが,鉛筆よりは軟かく,木炭より硬い。色は白,黒,茶などがある。消しにくいのが難点だが,仕上りは美しい。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンテ」の意味・わかりやすい解説

コンテ
conté crayon

絵画材料。顔料粉にろう,油の成分を固めた固型絵具の一種。色は黒・褐・白・赤の4色で,デッサンを描くのに用いられている。その名称は化学者で画家でもあった発明者の N.コンテ (1755~1805) の名に由来。

コンテ
continuity

映画用語。コンティニュイティの略。監督がシナリオをもとに各場面の登場人物,場面構成,撮影角度,場面フィート数まで細かく指定した撮影台本。

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世界大百科事典(旧版)内のコンテの言及

【映画】より

…活動写真は〈カツドウ〉の略語で親しまれ,映画説明者は活動弁士(そこから活弁ということばも生まれる),活動狂はカツキチと呼ばれ,また《活動之世界》《活動写真界》《活動俱楽部》といった映画雑誌も生まれ,映画人は活動屋と呼ばれた。 《アマチュア俱楽部》(1920)のオリジナルストーリーや《蛇性の婬》(1921)のコンティニュイティを書くなど,〈映画〉に深い関心を示していた作家の谷崎潤一郎は,17年の《新小説》9月号に〈活動写真の現在と将来〉,そして21年の同誌3月号には〈映画雑感〉というエッセーを発表している。このころに活動写真から映画に総称用語が移り変わっていったことがわかる。…

【シナリオ】より

…トーキーの時代を迎えると,サイレント映画の字幕に代わる台詞(dialogue)の問題が生じ,劇作家や小説家が映画のシナリオに参加するようになり,シナリオの重要性が改めて強調されたが,そのために,いきおいせりふが多くなって,サイレント時代に完成された純粋に視覚的な映画演出の基盤がくずれ,映像よりもことばに頼る傾向が強くなり,〈映画芸術〉の発達を遅らせる結果になったことも事実である。 シナリオの作業過程としては,脚本家あるいはシナリオライターscreenwriterによって,まずざっとあら筋が書かれた〈synopsis〉(シノプシスあるいは梗概(こうがい))があり,次いで〈treatment〉(本書き)があり(日本映画のシナリオは,ふつう,物語の展開や人物間の関係をせりふとともにシーンごとにまとめた〈箱書き〉の形式で書かれる),それから監督が演出プランに基づいてカット割りを行ってカットごとの撮影,照明,演技者の出入りまでを細かく規定した〈shooting script〉(撮影台本あるいはコンテ=コンティニュイティ)の段階がある。エイゼンシテインやヒッチコックのようにカットごとに〈storyboard〉(絵コンテ)を描く監督もいる。…

※「コンテ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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