コンゴーレッド(英語表記)Congo red

翻訳|Congo red

デジタル大辞泉 「コンゴーレッド」の意味・読み・例文・類語

コンゴー‐レッド(Congo red)

赤色アゾ染料に属する直接染料暗赤色粉末で、水・アルコールに溶ける。分析用指示薬などに用いられる。コンゴレッド。

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精選版 日本国語大辞典 「コンゴーレッド」の意味・読み・例文・類語

コンゴー‐レッド

〘名〙 (Congo red)⸨コンゴレッド⸩ 直接染料として合成されたアゾ染料。化学式 C32H22O6N6S2Na2 水溶性の暗赤色粉末。一八八四年、ドイツのP=ベッティガーが発明木綿レーヨン・絹・羊毛などを鮮赤色に染める。洗濯アルカリには強いが、日光や酸に弱い。紙の染色、指示薬などにも用いられたが、中間物のベンジジン発癌物質のため、現在では用いられない。コンゴ赤。

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改訂新版 世界大百科事典 「コンゴーレッド」の意味・わかりやすい解説

コンゴーレッド
Congo red



アゾ染料一種で,染色法からは直接染料に分類される。この染料は,1884年にベッティガーP.Böttigerが発明した木綿によく染着する最初の赤色アゾ染料として,歴史的意味をもっている。ベンジジンをテトラゾ化し,これにナフチオン酸カップリングさせて合成する。木綿,レーヨン,羊毛などの染色に使用されたが,堅牢度も低いことと,中間物であるベンジジンが発癌物質であるため,現在は製造も使用もされていない。酸性で青,塩基性で赤に変色するためpH指示薬(変色範囲pH3.0~5.0)として化学実験に用いられたが,現在はそれも歴史的なものとなった。
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化学辞典 第2版 「コンゴーレッド」の解説

コンゴーレッド
コンゴーレッド
Congo Red

C32H22N6Na2O6S2(696.67).C.I.Direct Red 28ともいう.赤褐色の粉末.水に易溶,エタノールに可溶.酸塩基指示薬(pH 3.0青紫,pH 5.0赤).セルロース繊維,羊毛などを赤色に染める直接染料に用いられる.また,ハロゲン化物,チオシアン酸塩を銀塩沈殿滴定するときの吸着指示薬にも用いられる.[CAS 573-58-0]

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百科事典マイペディア 「コンゴーレッド」の意味・わかりやすい解説

コンゴーレッド

木綿などの染色に用いられた赤色染料で,最初に合成された直接アゾ染料として有名。ベンジジンをテトラゾ化し,これにナフチオン酸をカップリングさせてつくる。現在は製造されていない。(図)
→関連項目直接染料

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栄養・生化学辞典 「コンゴーレッド」の解説

コンゴーレッド

 C32H22Na2N6O6S2 (mw696.68).

 水,アルコールに溶ける酸性のアニリン系のアゾ色素

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンゴーレッド」の意味・わかりやすい解説

コンゴーレッド
Congo red

直接染料の一種。 1884年に,媒染をしないで木綿を染色できる染料としてつくり出された最初のもの。以後多くの直接染料の合成に寄与した。暗赤色粉末で水溶液は赤色。酸性水溶液では青紫色に変る。鮮明で安価であるが堅牢度が弱い。薬品指示薬などにも利用される。

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世界大百科事典(旧版)内のコンゴーレッドの言及

【合成染料】より

…しかし工業的な意味では,繊維を染色する染料,着色を目的とする有機顔料においては,天然染料は完全に合成染料に置きかえられてしまった。合成染料は1856年イギリスのW.H.パーキンがアニリンから赤紫色染料モーブを合成したのが端緒になり,80年にはドイツのJ.F.W.A.vonバイヤーにより天然の藍の主成分であるインジゴが合成され,4年後にはベッティガーP.Böttigerにより赤色の直接アゾ染料であるコンゴーレッドが,さらに1901年にはドイツのボーンR.Bohnにより青色の高級建染染料であるインダントロン(インダンスレン)の合成が行われた。これらはいずれも,合成染料の歴史上画期的な出来事であった。…

※「コンゴーレッド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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