コンクリート船(読み)こんくりーとせん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンクリート船」の意味・わかりやすい解説

コンクリート船
こんくりーとせん

鉄筋コンクリート構造の船。1849年にフランスのランボーM. Lambotが初めてつくったといわれる。第一次世界大戦中に鋼船代用として各国で試作された。日本でも第二次世界大戦中に第一武智(たけち)丸(1944年、800総トン)など何隻か計画、建造された例がある。鋼材節約、材料入手が容易、安価などの利点はあるが、船体自身の重量が増えて、積める貨物重量が少ないのが大きな欠点である。コンクリート強度を飛躍的に高める手段がない限り、船体材料としては鋼、強化プラスチック、アルミ合金などに対抗できないであろう。

[森田知治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンクリート船」の意味・わかりやすい解説

コンクリート船
コンクリートせん
concrete ship

船殻 (船の外側) を鉄筋コンクリートで造った船。現在の船は大部分が鋼船であるが,鋼船に比べて有利な点は鋼材の使用量がわずかですむ,腐食しない,建造設備が簡単,特殊技術がいらない,船価が安いことなどがあげられる。一方,不利な点は船が重く,ショックに弱いこと。船の重さは鋼船のほぼ2倍になるのが致命的で,これがコンクリート船の建造されない理由になっている。しかし,戦時中など鋼材の不足したときには,やむをえず造られることがあり,第2次世界大戦中にも,外航貨物船として造られた例もある。

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