コロジオン(読み)ころじおん(英語表記)collodion

翻訳|collodion

精選版 日本国語大辞典 「コロジオン」の意味・読み・例文・類語

コロジオン

〘名〙 (kollodion) ニトロセルロース硝酸繊維素)をエタノールエーテルとの混合溶剤にとかした無色透明または淡黄色の粘りけある液体。これを塗ると溶剤が蒸発して、あとに薄膜が残るので医療用には水絆創膏として傷口保護に用いたり、写真感光膜、透析用半透膜などに用いたりする。コロディウム
※写真鏡図説(1867‐68)〈柳河春三訳〉初「コロヂヨンを引き銀液に浸したる版を入れて暗箱に挿す」

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デジタル大辞泉 「コロジオン」の意味・読み・例文・類語

コロジオン(collodion)

窒素量11~12パーセントの硝化度の低いニトロセルロースエーテルアルコールの混液に溶かしたもの。溶剤が蒸発すると透明な薄膜が残る。傷口の被覆透析膜などに用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コロジオン」の意味・わかりやすい解説

コロジオン
ころじおん
collodion

ピロキシリンともよばれる硝化度の低いニトロセルロース(窒素含有率11~12%)4グラムを、エタノール(エチルアルコール)25ミリリットル、エーテル75ミリリットルの混合液に溶かして100ミリリットルにした溶液をいう。エーテル臭のある粘性の大きい無色透明または淡黄色液体。この液を塗ると、エーテルとアルコールが蒸発して強力な薄膜が残り、水に溶けないじょうぶな透明膜ができる。これをコロジオン膜という。医薬用として用いられる。可燃性で特殊引火物に指定されており、密封して冷所に保管し、火気や衝撃を避ける必要がある。

[谷利陸平]

医薬用

液状包帯として傷ややけどの際などに用いる。皮膚に塗ると、局所をコロジオン膜で器械的に保護するとともに防腐の効力もある。乾燥時の亀裂(きれつ)や剥離(はくり)を防ぐ目的で少量のひまし油(3%)か、さらにカンフル(2%)を加えて弾性コロジオンとして用いることが多く、抜糸時の哆開(しかい)(大きく口を開けること)を防ぐ目的でも使われる。市販品には、同じ目的でセルロイドをアセトンに溶かしたものもある。

[幸保文治]

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百科事典マイペディア 「コロジオン」の意味・わかりやすい解説

コロジオン

ニトロセルロースをエーテルに溶解させたもの。淡黄色もしくは無色の粘稠(ねんちゅう)性液体。溶剤が蒸発すると透明な水に不溶の薄膜(半透膜)を残す。きず口被覆剤(水絆創(ばんそう)膏),写真湿板の感光膜,透析膜などに使用。
→関連項目シェーンバインシャルドンネ

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化学辞典 第2版 「コロジオン」の解説

コロジオン
コロジオン
collodion

低硝化度(N含有率約11~12%)のニトロセルロースをエーテルとアルコールの混合液に溶かしたもの.蒸発により,透明または半透明の水に不溶の薄膜ができる.初期の湿板写真の感光膜に使用された.透析用,分子量測定用などの半透膜となる.[CAS 9004-70-0]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のコロジオンの言及

【湿板写真】より

…ヨウ化銀コロジオン乳剤を使う写真法の一つ。〈しつばん〉ともコロジオン(ニトロセルロースをエーテルに溶解したもの)を乳剤の結合剤とし,これにヨウ化銀微結晶を分散してコロジオン写真乳剤を作る。…

※「コロジオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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