コルシカ[島](読み)コルシカ

百科事典マイペディア 「コルシカ[島]」の意味・わかりやすい解説

コルシカ[島]【コルシカ】

コルスCorse島とも。イタリアの西方約85km,地中海上にあるフランス領の島。南はボニファシオ海峡を隔ててサルデーニャ島に対する。山がちで最高峰はチント山(2706m)。西部は花コウ岩質で海岸に断崖,奇勝が多く,東部の海岸はなだらかである。地中海式気候。山地マキmaquisと呼ばれる特有の低木地帯で,古く山賊の隠れ家として知られ,第2次大戦中,抗独レジスタンスの拠点となった。またナポレオンの出身地としても知られる。産業は,ブドウ酒,かんきつ類・野菜栽培,羊の飼養が中心。観光収入も大きい。中西部のスカンドラ自然保護区などは1983年世界自然遺産に登録された。 紀元前のギリシア人,ローマ人の植民をへて,中世にはイスラム教徒,ピサ,ジェノバの支配をうけた。1284年には全島がジェノバの支配下に入ったが,コルシカ人の反乱は絶えず,1768年にはフランスに譲渡された。こうした歴史から,イタリアの文化的影響力が強く,土着の言語であるコルシカ語もトスカナ語に近いといわれる。しかしその使用者はフランス支配に入ってから減少している。道義的な信頼関係で結ばれたコルシカ独特の一族を〈クランclan〉といい,政治,経済,社会生活全般に大きな影響力をもっている。その勢力範囲は島を南北に2分する県,オート・コルス(県都バスティア)とコルス・デュ・シュド(県都アジャクシオ)に相当する。経済的にはフランスでもっとも遅れており,人口流出も問題となっている。1960年代ころから,フランス中央集権への異議と経済格差の是正を掲げる地域主義運動が続いた。1970年代以降は,分離独立をめざす民族主義組織も現れ,テロがくりかえされている。1982年にはコルシカに地域議会をおくことなどを定めたコルシカ特別法が制定された。8680km2。30万5674人(2009)。
→関連項目バスティアポルト湾リージョナリズム

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