コリントス同盟(読み)コリントスどうめい

改訂新版 世界大百科事典 「コリントス同盟」の意味・わかりやすい解説

コリントス同盟 (コリントスどうめい)

前338年カイロネイアの戦で勝利を得たマケドニアフィリッポス2世が同年冬,スパルタを除く全ギリシアのポリス種族の代表をコリントス召集,それを通して翌年樹立した組織で,ヘラス同盟ともいう。同盟は加盟諸国の相互安全保障条項を含む共同平和条約を互いに取り結ぶ形をとった。加盟国は同盟条約内での自由,自治は認められたが,現存国制の変革,土地の再分配,負債帳消し,革命をめざす奴隷の解放は不可とされた。フィリッポス2世は盟主として最高軍事指揮権を掌握。彼の発議で同盟議会はペルシア征討の宣言を下し,この企図は彼の息子アレクサンドロス大王によって実現された。結局のところ,この同盟はマケドニア王のギリシア世界の支配・統制手段としての役割を果たすものにすぎなかった。
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百科事典マイペディア 「コリントス同盟」の意味・わかりやすい解説

コリントス同盟【コリントスどうめい】

ヘラス同盟とも。カイロネイアの戦の後,前337年マケドニア王フィリッポス2世がスパルタを除く全ギリシアをコリントスに召集して結成した同盟。各ポリスの自由自治,相互不可侵,現存政権の維持私有財産の保護等を規定,ペルシア討伐を決定した。フィリッポス2世の没後,その子アレクサンドロス大王が盟主となる。

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世界大百科事典(旧版)内のコリントス同盟の言及

【コリントス】より

…しかし戦後は再び寡頭政に戻った。カイロネイアの戦(前338)後,マケドニアのフィリッポス2世はこの地を新しいヘラス同盟(コリントス同盟)の中心地と定め,ペルシア征討の宣言を下した。ヘレニズム時代には商工業も繁栄を取り戻し,市は〈ヘラスの星〉と呼ばれたが,重要な戦略要塞都市でもあったので,しばしば支配者が交替した。…

※「コリントス同盟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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