コムラサキ(チョウ)(読み)こむらさき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コムラサキ(チョウ)」の意味・わかりやすい解説

コムラサキ(チョウ)
こむらさき / 小紫蝶
[学] Apatura metis

昆虫綱鱗翅(りんし)目タテハチョウ科に属するチョウ。北海道より九州まで広く分布。種子島(たねがしま)、屋久島(やくしま)およびそれ以南の南西諸島には分布しない。外国では朝鮮半島、中国、ヨーロッパ南東部に産する。日本のコムラサキは従来一般にヨーロッパに産するアパツラ・イリアApatura iliaの1亜種とされてきたが、近年の研究でそれとは別種A. metisの1亜種とする説が有力である。はねの開張は70ミリメートル内外。はねの地色茶褐色で橙黄(とうこう)色のバンドがあり、雄の表面は見る方向によって紫色に輝く光沢がある。はねの地色が黒褐色で白色のバンドをもつ遺伝型があり、これをクロコムラサキとよぶ場合も多い。寒冷地では年1回の発生(7~8月)、暖地では多化性で5~10月にわたって出現する。樹液、腐果に飛来するが花にはこない。幼虫の食草は各種のヤナギポプラの類(ヤナギ科植物)。越冬態は幼虫である。

白水 隆]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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