コブラ(英語表記)cobra

翻訳|cobra

精選版 日本国語大辞典 「コブラ」の意味・読み・例文・類語

コブラ

〘名〙 (cobra) コブラ科の毒ヘビ。約一〇種あり、体色は褐色・黒色・灰色などで、くびの背面にめがね状の斑紋(はんもん)を有する。興奮すると、くびの肋骨(ろっこつ)両側に広げ、体長の約三分の一を地上から直立させ激しく呼気を発して攻撃する。体長五メートルに達するキングコブラのほかタイワンコブラインドコブラなどがある。毒は猛烈だが芸をさせることもある。台湾・インドアフリカなどに分布。めがねへび。〔蘭説弁惑(1799)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「コブラ」の意味・読み・例文・類語

コブラ(cobra)

有鱗ゆうりん目コブラ科の毒蛇の総称。インドコブラ・キングコブラなど。ほとんどが全長約1メートル。怒ると首の部分を平らに広げる。背面に眼鏡状の斑紋をもつものもある。南アジアからアフリカに分布。
[類語]くちなわ長虫大蛇だいじゃ大蛇おろちうわばみ毒蛇錦蛇青大将縞蛇ヤマカガシがらがら蛇波布海蛇盲蛇

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「コブラ」の意味・わかりやすい解説

コブラ
cobra

コブラ科コブラ亜科の毒ヘビのうち,興奮すると頸部を広げて立ち上がる特有の威嚇姿勢で知られる仲間の総称。アジア,アフリカ,オーストラリアの熱帯,亜熱帯に広く分布する。インドコブラNaja naja(英名Indian cobra)は全長1.2~2.2m。しばしばコプラと呼ばれたりするが,これは誤り。中央アジア,インド,熱帯アジア,中国南部,台湾に分布し,生息地により体色,斑紋などに変異がある。他のコブラ類同様,外形はナミヘビ科の無毒ヘビに類似し,頭部も胴もむしろ細長い。しかし身辺の異変を察知するとすぐに頸部を広げ,興奮が高まるにつれて体の前半部を立ち上がらせて,シューッという音(噴気音)とともにとびかかるしぐさを繰り返す。ただこの段階では,口を閉じたままの威嚇行動にすぎないが,身の危険を感ずると口を開いてとびかかる。このようなコブラ類特有の威嚇行動は,無益な戦いを未然に防止する目的の警告信号であり,天敵への脅しでもある。インドコブラ類にはさらに脅しの効果を高めるため,広がった頸部の背面に円形の目玉模様があり,おそらく背後に回る敵をたじろがせる効果があるのだろう。インド産のものでは2個の目玉模様が横に並び,そのためメガネヘビの異名がある。

 フード(ずきん)と呼ばれるコブラ類の頸部は,長く発達した肋骨によって広げられ,インドコブラではもっとも著しい。写真や映像で見るコブラはほとんどが威嚇姿勢であるため,一般にこれが通常の形態だと思われがちであるが,ふつうの形態は無毒ヘビと大差ない。不意を打たれたコブラは無警告でかみつくため,現地では夜間に踏みつけて被害を受けることがある。

 インドコブラは深い森林から開けた水田地帯まで分布し,夜行性で,夜間に市街地の公園や人家の庭先,道路にも出没する。餌はおもにネズミなど小哺乳類で,産卵は一度に20~40個ほど。神経毒を主成分とする毒性が強く,きわめて危険であり,生息密度も高いため各地で人畜の被害が大きい。熱帯アジアに分布し,最大の毒ヘビとして知られるキングコブラOphiophagus hannah,アフリカ産のエジプトコブラN.hajeやケープコブラN.niveaなどはインドコブラ同様の威嚇姿勢をとるが,頸部の幅は狭い。熱帯アフリカ産のクロクビコブラN.nigricollisとリンガルスHemachatus haemachatus(英名ringhals)は,特別な毒牙(どくが)のしくみにより敵の目に的確に毒を吐きかけることができるドクハキコブラ(英名spitting cobra)と呼ばれ,数mの距離を隔てても威力を発揮する。オーストラリア産コブラ類は多くは美しい小型の一群であるが,全長3~4mの大型で,もっとも攻撃的な毒ヘビとされるタイパンOxyuranus scutulatus(英名taipan)なども含まれる。ユニークな存在は,コブラでありながら形態,生態ともにマムシ類とそっくりのデスアダーAcanthophis antarcticus(英名death adder)で,“死の毒ヘビ”という名が示すとおり致命率はきわめて高い。

 有名なインドコブラの“コブラ踊”は,コブラが笛の音につれて“踊る”ものでなく(ヘビは音がほとんど聞こえない),彼らの威嚇行動をうまく利用したショーである。物語に登場するコブラでは,エジプトの女王クレオパトラの死にまつわるアスプaspが有名で,女王は毒蛇アスプにみずからの豊かな胸をかませて命を断ったともいわれている。現在ではアスプと呼ばれるのはクサリヘビ属のアスプクサリヘビVipera aspisであり,クレオパトラが用いたとされるエジプトコブラではない。しかし古代エジプトではヘビそのものをアスプと呼び,クレオパトラを画題とした歴史画でも,G.フェラリらはコブラを,G.レーニらはクサリヘビをかいている。エジプトには致命率の高い小型のトゲクサリヘビEchis carinatusも分布するので,aspはあるいは本種なのかもしれない。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コブラ」の意味・わかりやすい解説

コブラ
cobra

トカゲ目コブラ科 Elapidaeに属する毒ヘビのうち,体の前部を直立させ,肋骨を開いて頸部を広げることができるものをいう。体は一般に大型で,普通地上にすみ,行動的で性質が荒い。上顎の前端に,深い溝のある1対の毒牙をもち,毒液はその溝を流れてかみついた相手の体に入る。毒は神経毒で,呼吸中枢を麻痺させる作用をもつ。毒液を敵に吐きかけることができる種が多く,特にドクハキコブラHemachatus haemachatusやクロクビコブラ Naja nigricollisではこの能力が著しい。アジアとアフリカの熱帯・亜熱帯地方に分布する。最も有名な種の一つがインドコブラで,その地方型は台湾にもいる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「コブラ」の意味・わかりやすい解説

コブラ

スペイン,カタルーニャ地方の民俗舞踊サルダーナsardanaの伴奏をする管楽器主体の楽団。伝統的には左手でフラビオールflaviol(5または7孔の縦笛)を持ち,右手でタンボレットtamboret(小太鼓)を打つ1人2役の器楽奏者,2種類のオーボエ属の楽器(ティプレtipleとテノーラtenora)で編成されるが,現在ではコルネット,フィスコルノfiscorno(フリューゲルホルン)や他の金管楽器,コントラバスなどが加わる。プロバンス地方の音楽に似ている。

コブラ

コブラ科の毒ヘビのうち,興奮すると頸部を広げて立ち上がる特有の威嚇姿勢で知られる仲間の総称。代表種はインドコブラで,台湾からインドに分布。全長1.2〜2.2m。キングコブラは全長4mに達し,毒ヘビとして最大種で毒性も強い。台湾,華南にすむタイワンコブラはインドコブラの亜種である。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

デジタル大辞泉プラス 「コブラ」の解説

コブラ〔漫画〕

寺沢武一による漫画作品。左腕にサイコガンを持つ一匹狼の宇宙海賊・コブラの活躍を描く。『週刊少年ジャンプ』1978年~1984年、『スーパージャンプ』1986年~2002年、『コミックフラッパー』2005年~2006年に連載。集英社ジャンプコミックス全18巻。完全版はMFコミックス全12巻。1982年に劇場用アニメが公開され、1982年~1983年フジテレビ系列でアニメが放映された。

コブラ〔映画〕

1986年製作のアメリカ映画。原題《Cobra》。ポーラ・ゴズリング『逃げるアヒル』の映画化。監督:ジョルジ・パン・コスマトス、主演:シルベスター・スタローン、ブリジット・ニールセン、レニ・サントーニほか。

コブラ〔曲名〕

テレビアニメ「スペースコブラ」のオープニング・テーマ。歌:前野曜子。作詞:冬杜花代子、作曲:大野雄二。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のコブラの言及

【ウミヘビ(海蛇)】より

…魚類のウミヘビと混同されることがよくあるが,爬虫類のヘビの仲間である。ウミヘビ類は〈海のコブラ〉と呼ばれるように,形質がコブラ類と類似した点が多く,陸生のコブラ類から進化したものと考えられており,コブラ科のウミヘビ亜科Hydrophiinaeとエラブウミヘビ亜科Laticaudinaeに分けられている。ウミヘビ類は15属53種がペルシア湾,インド洋から西太平洋,オセアニアの暖かい海域に分布し,一部が中央アメリカの太平洋沿岸に達している。…

【毒腺】より

…毒ヘビ類の毒腺は唾液(だえき)腺の唇腺が変形したもので,毒牙に連絡している。ヘビの毒腺からは,呼吸中枢に作用し呼吸麻痺をおこさせる神経毒(コブラのオフィオトキシン,ガラガラヘビのクロトキシンなど),血管壁からの出血をおこし赤血球をこわす溶血毒(マムシのクロタロトキシン)などさまざまの毒素が分泌される。両生類,魚類には皮膚腺が毒液を分泌するものがある。…

【ナーガ】より

…ヒンドゥー教の神名。〈竜〉と漢訳されたが,本来は中国の竜とは異なり,蛇,とくにコブラのことである。蛇神崇拝はすでにインダス文明において存在したと推測される。…

【八部衆】より

…その居所は竜宮と呼ばれる。インドの美術ではコブラまたはコブラを頭につけた人間の姿で表される。(3)夜叉,薬叉(ヤクシャyakṣa) 森の神として福神と鬼神の両面をもつ。…

※「コブラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android