コバルトリッチクラスト(英語表記)cobalt rich crust

デジタル大辞泉 「コバルトリッチクラスト」の意味・読み・例文・類語

コバルトリッチ‐クラスト(cobalt rich crust)

《crustは、固い外皮、地殻の意》深海底鉱物資源の一。海底の基盤岩を覆うアスファルト状の酸化物であり、厚さは数ミリから十数センチメートル。水深800~2400メートルの海山海台分布マンガンニッケルコバルトなどの有用金属を含有する。マンガンクラスト一種であり、コバルトの含有量が1パーセントを超えるものをさす。コバルトクラスト

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知恵蔵mini 「コバルトリッチクラスト」の解説

コバルトリッチクラスト

深海底に存在する鉄・マンガン酸化物のうち、コバルトなどのレアメタル(希少金属)を豊富に含むもの。コバルトは、強固で腐蝕に強いコバルト合金や様々なコバルト化合物などとして用いられ、1970年代より原油天然ガスに次ぐ「第三の深海底鉱物資源」として調査が開始された。近年では、主に水深800~2400メートルの古い基盤をもつ海山の山頂斜面(特に北西太平洋)に広く分布していることがわかっている。2016年2月には、東京・南鳥島付近の水深5500メートル以上の海底にコバルトリッチクラストが広がっていることが確認された。3000メートル以上の深海で確認されたのは初めて。

(2016-2-12)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コバルトリッチクラスト」の意味・わかりやすい解説

コバルトリッチクラスト
cobalt-rich crust

マンガンクラストのうち,特にコバルトに富んだものをいう。コバルトリッチクラストは水深 800~2000mの比較的浅い海山の頂上から斜面の岩盤を数 mmから数 cmの厚さで広く被覆している。基本的には水深 4000~6000mの深海産マンガンノジュールと同じく,二酸化マンガン水酸化鉄主体とする海水からの化学的沈殿物の一種である。コバルトの含有量がより多く,コバルト 0.9%,ニッケル 0.5%,マンガン 25%程度を含む。小笠原諸島,南鳥島,ハワイ諸島,ミッドウェー島,ウェーク島沖に有望な鉱床の存在が報告されている。

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