コバルトブルー(読み)こばるとぶるー(英語表記)cobalt blue

翻訳|cobalt blue

精選版 日本国語大辞典 「コバルトブルー」の意味・読み・例文・類語

コバルト‐ブルー

〘名〙 (cobalt blue) 酸化コバルト酸化アルミニウムからなる青色顔料。また、その色。下地の色を覆いかくす力は小さいが、光、空気、酸、アルカリ、熱に強く耐久性にすぐれる。絵の具陶磁器合成樹脂着色剤などに用いられる。
風俗画報‐三四〇号(1906)紀念切手と絵葉書「両種共に通常切手の大きさと等しく三銭紅色一銭五厘は藍色(コバルトブルュー)にして」

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デジタル大辞泉 「コバルトブルー」の意味・読み・例文・類語

コバルト‐ブルー(cobalt blue)

酸化コバルト酸化アルミニウムから製する青色顔料。また、その色。絵の具や合成樹脂・陶磁器の着色剤などに使用

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コバルトブルー」の意味・わかりやすい解説

コバルトブルー
こばるとぶるー
cobalt blue

コバルトアルミニウムスピネルCoOAl2O3を主体とする鮮明な青色顔料で、耐光性、耐候性耐酸・耐アルカリ性いずれも大で非常に安定な顔料である。一般の無機顔料セラミック顔料とで若干製法等を異にする。

(1)一般の無機顔料 普通、コバルトブルーというとこれをさす。酸化亜鉛ZnOはほとんど使用せず、場合により酸化マグネシウムMgOが少量配合される。モル比で酸化コバルトに対しアルミナがごくわずかに多い程度で、だいたい1対1に近い。コバルトとアルミニウムの水酸化物を共沈させるか、あるいは酸化コバルトと水酸化アルミニウムなどを配合、900~1000℃で焼成して得られる。絵の具には欠かせない顔料で、このほか塗料、プラスチックの着色に用いられる。

(2)セラミック顔料 この分野では海碧(かいへき)、マットブルーともいう。酸化コバルト、酸化亜鉛、水酸化アルミニウムを配合、1200℃の焼成で得られる。主体は(CoZn)OAl2O3のスピネル。この顔料は、釉(ゆう)や素地の成分と反応し、色が紫みを帯びてくるので、高火度の釉には使いにくいが、上絵用としては重要な顔料である。この顔料は、他のセラミック顔料と若干違った意義をもっている。すなわち、3価のコバルトの混在する一般の酸化コバルトを、水酸化アルミニウムや酸化亜鉛とともに焼成し、すべてのコバルトを2価の状態にして使用するという目的でつくられた顔料でもある。3価のコバルトは釉の発泡の原因となるからである。

[大塚 淳]


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化学辞典 第2版 「コバルトブルー」の解説

コバルトブルー
コバルトブルー
cobalt blue

青色の顔料.テナールブルー(Thénard's blue)ともいう.CoO・nAl2O3(n = 2~3)固溶体で,スピネル型構造をもつ.Al2O3とCo塩,または両者の硝酸塩を混合強熱してつくる.CoとAlの成分比をある程度かえて色調を調節する.Alが多いほど淡色.鮮明な青色顔料で,耐熱,耐酸,耐アルカリ,耐候性が大きい.絵の具,陶器やプラスチックの着色に用いる.なお,このAlをZnにかえたCoO・nZnOは,コバルトグリーンまたはリンマングリーン(Rinmann's green)とよばれる緑色の顔料である.

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色名がわかる辞典 「コバルトブルー」の解説

コバルトブルー【cobalt blue】

色名の一つ。JISの色彩規格では「あざやかな」としている。一般に、アルミン酸コバルトを主成分とする顔料の鮮やかな青のこと。フランスの化学者L・J・テナール(1777~1857年)が初めてこの色の合成に成功し、19世紀なかばから生産された。そのためテナールブルーとも呼ばれたこともある。絵の具や陶磁器の着色に用いられた。色名は宝飾品、ガラス製品、照明器具、電気製品などに幅広く用いられている。

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百科事典マイペディア 「コバルトブルー」の意味・わかりやすい解説

コバルトブルー

アルミン酸コバルトCoO・xAl2O3を主成分とする青色顔料。テナール青とも。美しい青色で耐久力が大きく,絵具,陶磁器の着色などに使用。

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世界大百科事典(旧版)内のコバルトブルーの言及

【顔料】より

…印刷インキ,塗料,クレヨンなどに使う。コバルトブルーは,酸化コバルト,酸化アルミニウムを1200℃付近で焼成して得られるアルミン酸コバルトCoO・xAl2O3を主成分とする固溶体。美しい青色で耐久性が大きく,低温溶融ガラスにも溶けないので,陶磁器,ホウロウ,高級絵具などに用いられる。…

※「コバルトブルー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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