翻訳|cognac
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フランス産ブランデーの一種。ブランデーの同義語として使われることが多いが,本来はフランス南西部のコニャック市を中心とするシャラント県とシャラント・マリティーム県にまたがる地域内で,一定の規格のもとに造られたブランデーのみに与えられる呼称である。また,この地方の中心部にあるグランド・シャンパーニュ,プチト・シャンパーニュ両地区産のものだけをブレンドした製品は,フィーヌ・シャンパーニュと表示され,最高級品とされる。もともとこの地方のブドウ酒はアルコール分が低く,酸分の多い安物であった。たまたま1630年がブドウの豊作ですっかりブドウ酒をもてあました結果,アルザス地方でやっていたブドウ酒を焼く(蒸留)ことを見習って蒸留を始めたところ,思いもかけずすばらしい酒ができたという。これがコニャックの起源で,以来ルイ14世,さらにはナポレオン家代々の愛顧を得て,不動の名声を確立した。コニャックの原料ブドウにはサンテミリヨン,コロンバールなど酸度が高く糖分の少ない品種が使われる。これらの搾汁のみを発酵させてアルコール分7%くらいの白ブドウ酒にし,シャラント型と呼ぶポットスチルで2~3回蒸留,アルコール分70%くらいの蒸留液をとる。これをリムーザン地方産のオーク材のたるに詰めて最低3年の熟成を行うが,貯蔵中にたる材から種々の成分の溶出分解などが起こり,無色の酒はしだいにこはく色を帯びるとともに,独特の芳香と味をもつようになる。熟成年数の多いほど美味になり,価格も高くなるが,製品は年数のちがうものをブレンドし,水を加えてアルコール分40~43%として瓶詰する。コニャックのラベルにはふつう熟成度の表示がある。これはメーカーの決める等級で統一された規格ではないが,だいたい三つ星で3年,VSOP(very superior old pale)で8年,Napoléonで12~20年,Extraで30年以上と思われる。
執筆者:大塚 謙一
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…すなわち,アレクサンドリア時代のアランビックは,細口,首長の円底フラスコに,下向きのくちばしをつけた帽子形の頭部(アランビック)を,空冷用としてかぶせたものであった。これを改良して胴太の蒸留缶にアランビックを連結固定したものがコニャックで使われているシャラント型で(図),この型式の蒸留機を一般に単式蒸留機またはポットスチルと呼んでいる。東洋へ伝えられたアランビックは,金属製の釜(かま)やなべと木製の甑(こしき),竹管などを使って組み立てられ,14世紀以降東洋各地に蒸留酒を生んだ。…
※「コニャック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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