コサメビタキ(英語表記)Muscicapa latirostris; Asian brown flycatcher

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コサメビタキ」の意味・わかりやすい解説

コサメビタキ
Muscicapa latirostris; Asian brown flycatcher

スズメ目ヒタキ科。全長 13cm。頭,背,尾は灰褐色は黒褐色,胸腹部は灰白色で地味。シベリア南部からモンゴル北部,中国東北地方,サハリン島千島列島南部,日本,さらにインド北部,ヒマラヤ山脈,中国西部に繁殖分布し,中国南部,東南アジアおよびインドに渡って越冬する。日本には夏鳥(→渡り鳥)として渡来し,九州地方から北海道の低山および平地広葉樹林の林縁や疎林庭園の林などに生息し,昆虫類をとる。横枝上に地衣類と多量のセン類羽毛樹皮などをクモの糸で固めて,木のこぶのようなわん形の巣をつくる。「つぃー」という細い声で地鳴きをし,かぼそい鳴き声で複雑な音声のさえずりをする。

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改訂新版 世界大百科事典 「コサメビタキ」の意味・わかりやすい解説

コサメビタキ
brown flycatcher
Muscicapa latirostris

スズメ目ヒタキ科の鳥。全長約13cm,雌雄ともに全体に灰褐色のじみな羽色をしている。近縁サメビタキよりもやや小さくて淡色。アジアの東部に分布し,日本では北海道から九州までの各地に生息する。秋・冬季にはインドや東南アジア方面に渡って越冬する。日本には4~5月に渡来し,おもに低山帯の落葉広葉樹林にすむ。林縁部を好み,枝から空中にパッと飛び立って飛翔(ひしよう)中の昆虫をとらえて食べる。枝をピョンピョン移り渡ることはあまりしない。雄は低い複雑な節回しでさえずり,ときおり,そのさえずりの中にミソサザイキビタキなどのほかの鳥のさえずりを入れる。5,6月ごろ,水平に近い枝上にコケなどでわん形の巣をつくり,外側にウメノキゴケなどの地衣類をはりつける。1腹の卵数は4,5個,卵は青灰白色または褐灰白色。
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